今回のテーマは、ジョギングと整形外科的な障害です。
いわゆるスポーツ障害の約4分の1は膝関節が占めています。詳細なデータはありませんが、ジョギングによるスボーツ障害も、おそらく同程度を膝関節が占めているものと推定されます。
膝関節に起こるスポーツ障害は、膝関節内外の靭帯(じんたい)の損傷や関節内の軟骨組織である半月板の損傷などの急性外傷性の疾患。それに靭帯や腱の炎症などの慢性非外傷性の疾患とに大別されます。
ラグビーやテニスなどに比べてジョギングはその運動の特性から、非外傷性の疾患がより多くみられるようですので、その代表的なものをご紹介します。
- 膝蓋靭帯炎
ジョギングの着地の際に、膝蓋骨下端部が痛みます。過度のストレスによる靭帯の損傷にともなう炎症が原因です。
- 腸脛靭帯炎
大腿外側部の圧痛と運動時痛が特徴です。過度のジョギングによるストレスにより靭帯炎をおこしたものです。
- ランニング膝
これが中高年のジョガーに最も多く発症する膝痛の原因疾患です。走る時、あるいは走った後の膝全体の鈍痛が特徴です。中年期以降の膝関節は柔軟性や筋力が低下しており、関節の老化である、変形性膝関節症を合併していることが多いという医学的条件に過度のストレスが繰り返し加わることが原因です。
- 鵞足(がそく)炎
ジョギング時に大腿部の内側が痛みます。2と同様に、腱および周囲組織の炎症が原因です。
- 疲労骨折
下腿部の骨、特に脛骨に繰り返し衝撃が加えられた結果起こる骨折です。飛行機などの墜落の原因になる金属疲労とよく似ています。軽いジョギング程度ではおこることはまれですが、以前あるトップクラスのマラソンランナーがレース後疲労骨折をおこしていたことが報道され話題になったことをご記憶のかたもおられるかと思います。
治療は、整形外科専門医により、名種の疾患と鑑別診断をして確定診断が下されたあと、まずジョギングを禁止して、局所の安静保持をはかります。そして、低周波や温熱療法による理学療法、ストレッチング、テーピングなどを行います。疼痛が高度の症例には、消炎鎮痛剤の服用やステロイド剤の局所注射を行います
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