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 ひざの外側が痛い

質問
 肥満と運動不足解消のため毎朝ジョギングを始めたところ、ひざの外側が痛くなり、はれてきました。近くの整形外科で「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」と言われました。学生のころラグビーでひざを痛めたことがあり、長い距離を歩くと痛くなることもあります。関連があるのでしょうか。(西成区会社員52歳)

回答
 ひざ関節周辺はたくさんの靭帯や筋肉が交差するように走り、主にひざ関節を安定させ、屈伸などの運動が円滑に行われるように機能しています。腸脛靭帯もその一つで、腸骨(骨盤の外側の骨)と脛骨(下腿の大きい方の骨)を結んでいます。これが、大腿骨の外側の骨が隆起した部分と擦れて炎症を起こした状態を腸脛靭帯炎といいます。

 長距離ランニング、登山など、ひざの過度の運動で起こることが多く、ジョギングによるひざ障害の代表的疾患と言われています。O脚の人に多い。まれに大腿骨に生じた骨腫瘍が原因の場合があります。

 いままでの運動量やひざの外側上部の圧痛、ひざ屈伸時の痛みなどで診断されますが、外側半月板損傷や疲労骨折など同じような痛みをきたす疾患と鑑別する必要があります。質問者の場合は、ひざを痛めたことがあること、年齢などを考慮すると、ひざ関節の軟骨が老化や外傷などによって摩耗変形する変形性膝関節症を伴っていることが考えられます。治療は1〜2週間、一切の運動を中止して、安静にすることが原則。局所に温熱療法や低周波治療などの理学療法、腸脛靭帯のストレッチングを実施、痛みの強い時は消炎鎮痛剤を投与します。これらを行っても治癒しない場合は、腸脛靭帯切除・延長などの手術的治療が選択されます。

    予防は
  1. 十分な準備運動
  2. アスファルトなどの硬いところを避け、なるべく土などの軟らかい道を走る
  3. 衝撃を吸収する構造の靴をはく
  4. 自分の能力にあった適切な距離を走る(高齢者は早歩き、いわゆるウオーキングを選ぶ)など。

 質問者のように、ひざを痛めたことがある人はスポーツをする前に整形外科専門医に相談することをお勧めします。



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