質問
六十五歳の母のことでお尋ねします。先日転倒し、大腿骨(だいたいこつ)骨折で手術を受けました。先生から"骨粗鬆症(こつそしょうしょう)"で骨がもろくなったのが原因と言われましたが、どんな病気なのでしょうか。また、予防や治療法についても教えて下さい。(阿倍野区 主婦)
回答
"鬆"とは大根などに"ス"が人った状態を意味します。つまり、骨粗鬆症とは、本来繊密(ちみつ)であるべき骨の組織がスカスカになり、文字どおり骨に"ス"が入ったようになる病気です。
高齢者、特に閉経期以後の女性に多いことから、女性ホルモンや老化現象の関与が推測されますが、はっきりした原因は不明です。歩きはじめや体を動かす時に腰が痛い、また腰や背中の痛みがなかなかとれない、といった症状から、進行すると背中が丸くなったり、身長が縮んだりします。このほかにも質問にあるように大腿骨、特に股(また)の付け根や、手首の骨折がよくみられます。高齢者が寝たきりの原因になるため、最近、社会問題化しています。
予防としては次のことが肝要です。
- カルシウムが豊富な牛乳、小魚、豆腐などをよく取ること
- 適当な運動をして骨に刺激を与え、活生化を促します
- 日光にあたり、カルシウムを吸収するのに必要なビタミンDを活性化させます
- 暴飲暴食を避け、規則正しい生活を。特に喫煙、アルコール多飲はよくありません。
治療は、骨がスカスカになるのを防止し、骨が新しく作られるのを助けることで骨折を、予防し、腰や背の痛みを和らげます。近年、多種類の骨粗鬆症治療剤が登場し、また、骨の密度などをコンピューターで測定して、より正確な診断ができるようになってきました。
この病気のもたらす悲惨な病態や社会的な影響を考えますと、知識の普及と、ふだんからの予防が重要であり、たとえば女性は閉経期を過ぎたら、定期的に骨の状態を専門医に診てもらうといったことが、これからは必要ではないかと思われます。
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