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 腫れて痛む「外反母趾」

質問
 両足の親指の付け根が外側に曲がって腫(は)れて痛みます。「外皮母趾(がいはんぼし)」と診断され、ひどくなると、手術しなければならないとのことですが、この病気について教えてください。(阿倍野区45歳主婦)

回答
 母趾(足の親指)と第1中足骨(ちゅうそくこつ・母趾に連なる足の骨)をつなぐ関節を第1中足趾関節といいます。この関節で母趾が外側に"くの字状"に折れ曲がり、関節に腫れと痛みがある病態をいいます。ひどくなると、母趾が第2趾(足の人指し指)にのりかかるようになる場人もあります。
中年以降の女性に比較的多いですが、最近は若い女性に増えてきているように思います。

    原因は
  1. 先天性(足の指の先天奇形、扁平足など)
  2. 外的要因(先が細くてかかとの高いハイヒールを常用することによる母趾の圧迫など)
  3. 二次的変形(慢性関節リウマチや脳性まひなどに続発して発症)
  4. などが挙げられますが、日常の診療では2.が最も多く見られます。診断は視診とレントゲン検査で簡単につきますが、1.や3.のような疾患がないか判別する必要があります。

 次のような治療法があります。まず靴の工夫。かかとが低くて母趾が圧迫されない、つま先に余裕のある靴を履きます。最近、母趾と第2趾の間がふたまたになっている靴を見かけましたが、なるほどと感心しました。ただし、見かけはよくないので、ファッションに敏感な若い女性は勇気がいるかもしれません。

 次に装具治療。指の間に挟む簡単なものから、靴と一体になったものまで各種の治療用装具があります。

 そして薬物療法。消炎鎮痛剤、湿布軟膏剤などを使います。

 手術的治療は、これらの治療で痛みや腫れが改善されない、あるいは変形が激しく日常生活に支障があるといった時に行われます。矯正骨切りや腱(けん)移行術など、症状により多くの手術方法があります。

 専門医の間でも、この病気は簡単なようで、奥が深いと言われています。たかが足のことと軽く考えず、整形外科専門医を受診して下さい。



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