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 健康にジョギングを楽しむには

 ジョギングによるスポーツ障害については、私も日常診療でよく遭遇します。中高年のかたが、「膝が痛い」あるいは「足が痛む」と訴えられる。問診しますと、「最近健康のためにジョギングを始めた」「どれくらい走ればいいのかわからないが、ともかく走っている」「2週間前より痛むが我慢して走っていたら痛くて走れなくなった」−これが典型的な例です。
 健康によかれと思って始めたジョギングで体をいためることはどつまらないことはありませんね。今回は健康にジョギングを楽しむにはどういったことを守ればいいのか考えてみましょう。
   
  1. できれば空気のきれいな郊外の公国や森林の中で走ろう
    オゾソでいっぱいの空気を胸一杯に吸い込みながら、緑の中を駆けるのが理想です。いまはやりの森林浴効果も期待できます。

  2. 自分にあった運動量とペースを守ろう
     個人差がありますのでいちがいには言えませんが、走る距離は一日5−7キロメートル程度が適切とされています。しかし高齢者などでは、後述するメディカルチェックを受けられて、もし変形性膝関節症や変形性脊椎症を合併しているようでしたら、医師の指示のもとに、もっと短い距離を、またジョギングでなくウォーキングするのが良いでしょう。

  3. 運動前後に全身に十分なストレッチを
     大事なことは下肢だけではなく、腰背部や頚肩部も含めて、全身の筋肉に対してストレッチをすることです。方法はメディカルチェックを受けた際に整形外科専門医に指導してもらってください。また、氷や消炎鎮痛剤のはいった軟膏を用いていわゆるスポーツマッサージを行ってください。

  4. ジョギングを始める前と、始めてからも定期的にメディカルチェックをしよう
     内科の先生には、呼吸循療機能に異常がないかなどについてチェックしてもらってください。自覚症状が全くない人が心電図をとったら心筋梗塞(こうそく)が見つかったといったことは珍しくありません。整形外科の先生には、レントゲン撮影をしてもらって、例えば膝に変形性膝関節症がないか、あるいは腰の脊椎に変形がないかなどのチェックをしてもらってください。また、O脚や扁平足のひとは、ジョギングで膝や足を痛めやすいので、矯正の目的で足底板装具を処方してもらうことをお勧めします。

  5. 体にすこしでも異常を感じたら、早めに専門医へ
     たかがジョギングといって軽く見ないでください。ジョギングがきっかけで思わぬ病気が見つかることはよくあります。また、放置していて慢性化し、治りにくくなることがあります。早期発見早期治療が肝要です。健康にジョギングを楽しむには健康な肉体が大前提であることを肝に銘じておいてください。


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