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 転んで骨折、手術が必要

質問
 68歳の母親のことでお尋ねします。先日、自宅のふろ場で転び、病院で診てもらったところ「大腿骨頸部(だいたいこっけいぶ〕骨折で手術が必要。骨ももろくなっている」と言われました。この病気が原因で寝たきりになる人が多いとも聞きました。手術について教えて下さい。(西成区主婦40歳)

回答
 「大腿骨頸部骨折」とは、骨盤と股(こ)関節を構成している大腿骨の頭の部分(大腿骨頭)の周辺に生ずる骨折です。とくに高齢の女性に多く見られます。質問者の場合、骨がもろくなっているとのことですから、おそらく骨粗しょう症があって、そこに転倒して外力が加わったため骨が折れたと考えられます。

 治療は早期に、観血的整復固定(手術をして骨折部を接合する)を行い、手術後は歩行訓練をして、できるだけ早く日常生活に復帰させることが原則。これは他の治療方法では骨がくっつきにくいこと、さらに、肺炎や老人性痴ほう、寝たきりなど長期間病床にあることによって生じる合併症を避けるためです。

 手術は金属プレートなどにより骨折部を固定する方法と、骨折部の股関節を人工の関節に置き換える方法に大別され、骨折の状態により適切な方法が選択されます。麻酔科学の発達で高齢者でも比較的安全に手術をすることができるようになり、100歳を超えた患者の手術例が報告されています。

 予防は、転倒しないようにツエなどをふだんから用いたり、股関節周辺の筋肉の力をつける運動をすることなどが必要です。骨折と合併しやすい骨粗しょう症の予防や治療も大切です。

 この骨折は、脳こうそくなどの脳血管障害と並んで、老人が寝たきりになるきっかけの主な原因であり、急速な高齢化社会を迎えつつある我が国では今後、社会全体の問.題として取り組んでいくことが必要だと考えます。



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