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 「筋性斜頸」とは

質問
 生後3週間の息子が頭を片側にばかり向けていたので病院で診てもらったところ、「筋性斜頸(きんせいしゃけい)」の疑いがあるので整形外科で受診するようにと、言われました。どのような病気で、手術は必要なのでしょうか。(西成区主婦25歳)

回答
 頭部と頸肩部を結び、頭の運動をつかさどっている筋肉に、「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」という種類の筋肉があります。「筋性斜頸」とはこの筋肉の一部に生まれつき腫瘤(しゅりゅう=コブ)ができ、筋肉が短縮・拘縮(こうしゅく)をきたしたために、頭頸部の動きが制限された病態をいいます。質問者のように「頭を一方向ばかり向け反対を向かない」「頸部にしこりがある」などの症状で発見されます。

 診断は以上の臨床症状に加え、筋肉の腫瘤が確認できれば、容易ですが、時には骨の構造や目の機能に原因があるものがあり、鑑別が必要となる場合があります。

 治療は「矯正位(きょうせいい=頭の正しい位置)」の保持を母親に指導し、1か月ごとに経過を診ることが原則です。ほとんどの症例が後遺症もなく治癒しますので、心配は要りません。マッサージ治療が行われたこともありますが、近年では、その効果は疑問視されています。手術は腫瘤が大きいとか、硬いなどの理由で改善がえられない場合に、1歳半をめどに、突っ張っている筋肉の腱(けん)を切除する「腱切り術」などが行われることがあります。

 質問者の息子さんは生後間がないので、小児整形外科専門医に受診され、外来通院で指導および経過観察を受けることをお勧めします。



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