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 慢性関節リウマチ その1

質問
 手や膝の関節がはれて痛むので、かかりつけの先生に診てもらったところ、慢性関節リウマチの疑いがあり、リウマチ専門医での治療を勧められました。リウマチ専門医とはどのような資格で、どんな治療が行われるのでしょうか。(阿倍野区主婦45歳)

回答
 慢性関節リウマチは、多数の関節にはれと痛みが続き、症状が進むと関節の変形と運動障害をきたす病気です。
原因はよく分かっていません。治療の目的は早期発見、早期治療で病気
の進行を抑え、関節の破壊を防ぐことにあります。紙面の都合で薬物療法に限って説明しましょう。

治療に用いられる薬物は次の3グループに大別されます。

  1. 非ステロイド消炎薬
    炎症を抑え、関節のはれと痛みを改善して日常の生活動作の障害を緩和する効果があります。胃障害などの副作用を起こすことがありますが、比較的安全な薬なので、第一に選択されます。
  2. 疾患修飾性抗リウマチ剤
    即効性はありませんが、免疫のバランスの乱れを調節したり、異常な免疫反応を抑制することで、徐々に効果をあらわすタイプの薬です。重い肝臓、腎臓障害や血液、骨髄障害などの副作用が出ることがあり、細心の注意が必要です。
  3. ステロイド剤
    慢性関節リウマチの関節のはれと痛みに劇的な改善をもたらす副腎皮質ホルモン剤です。肝臓障害、胃かいよう、骨粗しょう症などの副作用が問題となることがあり、上記の2.同様慎重な経過観察が必要です。

以上の異なったタイプの薬を組み合わせて治療しますが、適切な用法、用量を決定したり、生命にかかわるような重い副作用を防ぐには専門的な知識と経験が必要です。そういった意味で質問者のかかりつけの先生がリウマチ専門医での治療を勧められたのでしょう。リウマチ専門医として現在学会などで認められているのは、「日本整形外科学会認定リウマチ医」「日本リウマチ学会認定医」「日本リウマチ財団登録医」です。リウマチ専門外来を設けている大学病院や国公立病院のほか、一般の病院、診療所でも専門医の資格をもつ医師の治療が受けられます。

  私の経験では、何年も長期にわたることが多い慢性関節リウマチの治療で最も大事なのは、医師と患者さんとの信頼関係だと思います。適切な治療が実施されれば、慢性関節リウマチは決しておそろしい病気ではありません。かかりつけの先生が勧められるように、リウマチ専門医の診察をうけて治療を始めて下さい。



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