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 骨粗鬆症の薬物療法とは

質問
 腰が痛むので近所の整形外科で診てもらったところ、骨粗鬆症で腰の骨がつぶれて変形しているため、薬による治療が必要といわれました。どのような薬が用いられるのでしょうか。(阿倍野区62歳主婦)

回答
 骨粗鬆症の「鬆」とは、大根などに「ス」が入った状態を意味します。つまり、本来緻密(ちみつ)であるべき骨の組織がスカスカになり、文字通り「ス」が入ったようにもろくなる病気です。相談者の場合も、そのためにもろくなった腰の脊椎(せきつい)がつぶれて圧迫骨折を起こしたための腰痛と考えられます。
 ご質問の薬物療法について、現在使用されている薬剤と主な作用について説明します。

  1. 「カルシトニン」=骨を吸収する役目を持つ細胞の働きを抑えることで骨の吸収を防ぐ働きをするホルモン。
  2. 「エストロゲン」=骨が吸収されるのを防ぐ働きをする女性ホルモン。
  3. 「イブリフラボン」=骨の代謝に関与して、骨が吸収されるのを阻害する化学合成薬剤。
  4. 「ビスフォスフォネート」=骨の結晶に吸着することで骨の吸収を阻害し、骨の形成を促進する化学合成薬剤。
  5. 「活性型ビタミンD3」=カルシウムの代謝に作用して、骨の形成を促進する。
  6. 「メナテトレノン」=骨組織のある種のタンパク質の生成に重要な働きをすることで骨の形成を促進する。
  7. 「カルシウム製剤」=骨を形成するミネラル成分。

治療にはこれらを組み合わせて用いますが、適切な用法や用量を決定したり、薬剤の副作用をチェックするには専門的な知識と経験が必要です。また、定期的に骨のレントゲン撮影や骨塩量(骨のカルシウム量)の測定を行って、骨粗鬆症の状態を観察することで薬物療法の治療効果の判定をするなど、綿密な治療計画を立てることが求められます。
 相談者の場合は、すでに脊椎の圧迫骨折を起こしている重症度の高い骨粗鬆症と考えられます。主治医に薬物療法と治療計画についてよく説明を受け、早期に治療を開始されることをお勧めします。



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