Story 骨粗鬆症編 慢性関節リウマチ 小児整形編 変性疾病編 スポーツ障害編 一般整形外科編
22 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

 学校健診で脊柱側彎症

質問
 先日、娘が学校健診で背中の曲がる脊柱側彎症(せきちゅうそくわんしょう)の疑いがあるので、精密検査が必要と言われました。どのような病気でしょうか。(西成区・主婦35歳)

回答
 脊柱(首から腰までの背骨が連なったもの)が、左右どちらかに曲がり変形する疾患をいいます。成長期の児童に多く、変形による美容上の問題をきたしたり、曲がった脊柱が肺や心臓を圧迫して呼吸や循環器の機能に影響を及ぼすことがあります。

 この病気は原因が先天異常や腫瘍(しゅよう)などによる「症候性脊柱側彎症」と原因不明の「特発性脊柱側彎症」に大別でき、後者が80%を占めています。特発性脊柱側彎症はほとんどが成長期の児童に見られますので、娘さんも特発性のものではないでしょうか。

 精密検査は整形外科専門医を受診し、レントゲン写真で行います。私の経験では姿勢が悪いだけで、脊柱には異常がない場合がほとんどですが、100人に1人ぐらいの割合で、大きく曲がった症例をみることがあります。

 治療は曲がり方の程度により3つに分類して行われます。軽症では姿勢や骨の栄養に関する生活・食事指導を実施して定期的な経過観察を行い、中程度では姿勢を矯正するブレースという装置を用いて装具療法を行います。重度でこれらの保存的治療を行っても側彎が進行する時、呼吸、循環機能に影響が出ている場合などでは脊椎(せきつい)外科専門医による側彎矯正手術を行います。この病気は早期に発見して変形の進行を防止することが肝要ですが、近年、学校健診による早期発見の態勢が整ってきており、また手術が必要なケースはまれですので、いたずらに恐れることはありません。



←back next→