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骨粗鬆症の薬物療法(各論その4 エルカトニン 後編) |
前回は生体内に存在するホルモンであるエルカトニンについて、その三つの働き−すなわち1)骨量増加作用 2)鎮痛作用 3)骨折予防効果についてお話ししました。現在、ウナギとサケから抽出精製され製剤化された二種類の薬剤が臨床の現場で用いられております。いずれも注射剤であり、一○単位または二○単位が、週一回から二回、筋肉内注射により投与されます。 活性型ビタミンDとの相性がよいため、わが国では最も多く併用されております。私もこの組み合わせを好んで用います。また、次回お話しする、骨形成促進剤であるビタミンKとの併用は、理論的には有効と考えられており、現在臨床試験が進められております。 しかし、これも今後お話しする予定である、ビスフォスフォネート系骨吸収抑制剤との併用では、血清カルシウムが急速に低下することがあるとの報告があります。 エルカトニンは、生体内に存在するホルモンであり、安全性はすでに確認されていますが、投与後に顔面がのぼせたように紅潮したり、気分が悪くなり、吐き気を催すことが稀にあります。また、めまい、頭痛、動悸、血圧の上昇がみられることがあります。 これらの副作用は一過性であり、重傷化することはありません。しかし、この薬剤にたいして過敏症である患者さんには投与できません。 また、発疹などの過敏症状をきたしやすい体質の人には慎重に投与する必要があります。 次回はビタミンK製剤についてお話しします。 |