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第5話  骨粗鬆症に合併する骨折(その2)

 骨粗鬆症に合併しておこりやすい骨折−今回は撓骨遠位端骨折についてお話します。これは前腕部から手関節部にかけて二本ある骨の親指側の骨の骨折です。大腿骨骨頸部骨折と並んで、高齢者が転倒などの外傷で骨折する頻度が高い骨折です。手をついて転倒したあと手首が腫れて動かすと激痛がする、手首の部分がゆがんでしまって、フォーク状に変形した−このような場合にはこの骨折が疑われます。レントゲン写真などで、診断が確定すると、まず折れた骨の転位(骨折部分のずれ)の程度により適切な治療法を選びます。転位の程度が比較的軽い場合には、骨折部をできるだけ元の状態に手を用いて復元した後にギプス固定を3−4週間おこないます。骨のつきぐあいにより更に固定期間を延長します。骨の癒合が確認されたらギプスを除去して、手関節を動かしたり、上肢の筋力増強訓練をおこないます。
 骨折部の転位が高度の場合は手術により金属のピンや板を用いて骨折部を整復し固定します。
大腿骨骨頸部骨折と同じく、手術した場合は、先ほど述べましたリハビリテーションが早く開始できますので、関節が固まって動きが悪くなったり、筋肉が萎縮して筋力が低下するなどの合併症を効果的に防ぐことができます。ギプスで長期間固定しますと、これらの合併症はある程度避けられませんので、最近では、ある程度以上転位した骨折では手術が選択される割合が増えてきています。(骨粗鬆症に合併しやすい骨折の部位を模式図に示しましたので参考になさってください。)

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