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第11話  骨粗鬆症の薬物療法
(各論その3 骨量をふやす活性型ビタミンD 前編)

 薬物療法について、今回から『活性型ビタミンD(薬剤名・ワンアルファ、アルファロールなど)』について、最近の知見をまじえてお話します。年配のかたは、飲むと苦い『肝油』を覚えておられるでしょうか。ビタミンDはこの肝油をはじめ、レバー、イワシ・カツオなどの魚、しらすぼし、牛乳、きのこ、卵などに多く含まれております。ビタミンDは体内に入りますと、肝臓や腎臓のはたらきにより実際薬理作用を発揮する活性型ビタミンDに変換されます。この活性型ビタミンDを化学合成して骨粗鬆症の薬物療法にもちいます=図は化学構造式。
 活性型ビタミンDは、腸管からカルシウムとリンの吸収を促進します。また、副甲状腺からでるPTHというホルモンの分泌を抑制します。このホルモンは、骨を吸収する働きがありますので、その分泌を抑制することで、骨吸収を抑制し、骨量を増加させます。この薬剤は、我が国で最も古くから骨粗鬆症の治療に用いられており、安全性は確立されております。臨床の現場では、前回お話しましたカルシウム製剤とともに、骨粗鬆症の薬物療法において、第一に選択される薬剤です。両者を併用することで、相乗効果が期待されることから、両者の併用投与が行われます。私も、骨粗鬆症の薬物両方では、まず第一に両者の薬剤の併用から始めます。
 そして、骨量減少の程度やレントゲン所見、血液・尿検査所見などから骨粗鬆症の重症度を判断して、他の薬剤の追加併用を考慮するようにしております。

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