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第13話  骨粗鬆症の薬物療法(各論その4 エルカトニン 前編)

 骨粗鬆症の薬物療法一今回からは生体内に存在するホルモンであるエルカトニン(商品名;エルシトニン・サーモトニンなど)をとりあげます。
 骨を壊して、吸収する役割を持つ細胞を、破骨細胞といいます。エルカトニンはこの破骨細胞に働き、その活動を抑制することで、骨吸収を抑制します。その結果、骨粗鬆症で乱れている、骨吸収と骨形成のバランスを改善し、骨量の減少を防ぎ、骨量を維持増加させます。また、骨粗鬆症の患者さんは腰背部などに強い痛みを訴えることが多いのですが、エルカトニンは、脳の中枢に働きかけて、投与後すみやかに痛みを鎮静化させます。この鎮痛効果は、他の薬剤にはみられないユニークな作用として注目されております。エルカトニンは生体内に存在するホルモンですが、その血中濃度は、骨粗鬆症に罹患しやすい女性のほうが男性より低値を示します。また、骨量の年間減少量とエルカトニンの血中濃度とは有意の関係があります。これらのことから、骨粗鬆症の進行する仕組みに、エルカトニンが深く関わっていることがわかってきました。またエルカトニンは骨粗鬆症において、骨吸収を抑制しますが、これにより骨の微細構造において、その強度が増加することで、骨折の予防に効果があることが臨床試験でわかってきました。エルカトニンの次の3つの働き、すなわち、1)骨量増加作用 2)鎮痛作用 3)骨折予防効果についてお話しました。一次回から投与方法や副作用などについてお話します。

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