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第1話  骨粗鬆症とはどんな病気?

1 はじめに
 超高齢化社会を目前に控えて、骨粗鬆症が最近注目を浴びています。
“誰もが避けられない骨の老化”―骨粗鬆症について基礎知識から最新情報までわかりやすく解説していきます。

2 骨粗鬆症とはどんな病気なの?
 骨粗鬆症の“鬆”とは、古くなった大根などにはいる“す”を意味します。すなわち、骨が老化して粗い“す”がはいった状態を意味します。実際重症の骨粗鬆症患者の骨は内部がすかすかのスポンジ状態になっており、少しの外力で潰れてしまうほどもろくなっています。
 中高年以後、特に女性の場合閉経時期以後に発症することが多く、腰がまがってきたり、腰や背骨が痛くなってきたり、ちょっところんだだけで骨折したりします。現在、このような状態にある人は全国で1000万人以上いると推定され、今後も増加する傾向にあります。また、寝たきりとなる大きな原因のひとつでもあり、社会問題となってきております。

3 なぜ骨粗鬆症になるの?なぜ女性におおいの?
1) カルシウム摂取の不足
 骨はカルシウムとタンパク質からつくられています。もし摂取するカルシウムが不足すると、いわばカルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムが放出され、結果として新しい骨がつくられなくなり、強度も低下してしまいます。実は私たちの骨は、一生同じでは無く、常に古い骨が壊され、新しい骨がつくられることによりバランスが保たれています。カルシウムが不足することで、このバランスが崩れることが骨粗鬆症の原因の一つなのです。
 一見骨粗鬆症とは無縁のような20才台の若い女性に最近軽度の骨粗鬆症がみられるようになりました。これは無理なダイエットによるカルシウム不足および必須栄養素の摂取不足が原因です。ただでさえ女性は、後述するように骨粗鬆症に関しては不利な条件にあるのに、これでは中高年以後がおもいやられます。また、学校教育の場でもきちんと指導しなければならないと思います。
2) 女性ホルモンの関係
 実は女性にとって女性ホルモンは、骨のカルシウム量を調節する働きをしています。閉経期以後には女性ホルモンの分泌が減少するために骨のカルシウム量が減少するために骨粗鬆症が多くなるのです。したがって、手術で卵巣を切除した人や、激しい運動で女性ホルモンの分泌が乱れているスポーツ選手などは、閉経期に関係なく要注意です。
3) カルシウム調節機能の衰え
 先程述べたように、骨は吸収と形成を調節するホルモンによりバランスが保たれています。
 骨の吸収をつかさどるホルモンは“副甲状腺ホルモン”と“ビタミンD”また骨の形成をつかさどるホルモンは“エストロゲン(女性ホルモン)”と“エルカトニン”です。これらのホルモンの調節が乱れたときに骨粗鬆症になりやすいのです。
4) 加齢による骨量の減少
 生理的に女性の場合は40才頃から、男性は70才ころから骨の量が減少します。女性は男性にくらべて体格が小さく骨量も少ないのですから骨量の減少の影響が大きいと考えられます。

4 どんな人が骨粗鬆症になりやすいの?
1) 女性;女性ホルモンの関係、妊娠授乳などでカルシウム喪失の機会が多い、体格(骨格)が小さいなど
2) カルシウム摂取が少ない人;食べ物の好き嫌いの激しいひと
(食事に関する話は後日の機会に説明します。)
3) やせ過ぎている人;体格が小さい人、無理なダイエットでやせすぎた人
4) 運動不足;運動しないで、筋肉の発達が悪い人は骨の発達もよくありません
5) 胃腸の弱い人;カルシウムやそのほかの栄養素の吸収が悪くなります。また、胃腸膵臓などの切除手術を受けた人も要注意です
6) 喫煙・飲酒癖;飲酒は適度では問題ありません。喫煙は林先生もいわれておりますが“百害あって一利なし!”―これは骨粗鬆症についても同じです
7) 近親者に骨粗鬆症患者がいる人;遺伝子レベルでのお話になるので詳しくは、最終話に譲りますが、例えば“お母さんが骨粗鬆症で腰が曲がっていた”といった人は骨粗鬆症にかかる確率がより高いです。

骨粗鬆症の症状

骨粗鬆症は、高齢者特に閉経後の女性に多く起こる病気です。

腰が重く感じたり、背中や腰の痛みを訴えます。またからだを急に動かしたとき、鋭い痛みが起こります。
重いものを持ち上げたり、ころんだりしたときに、背骨や大腿骨の骨折が起こりやすくなります。
背骨全体が変形を起こし、亀背やまる背になったり、身長が短縮することもあります。

加齢による骨量の変化

骨の最大骨量は30歳代で完成します
年代別骨粗鬆症の発生頻度

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