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 高齢者に多い骨折の予防と治療2

3 治療法について
 手術をしない保存的治療が治療の原則であることは高齢者でも同じですが、やむをえず手術をしなければならない場合があります。
 代表的な例は2b2)の大腿骨頸部骨折です。この骨折は通常の方法では骨癒合をえるのが難しいため手術を行なうのが原則です。(観血的整復固定、人工骨頭置換術など)
 また、2b3)、4)でも、ギプスで安定性支持性をうることが難しい場合は、ピンニングなどの観血的整復固定をおこなうことがあります。
 3b1)、5)では下肢の麻痺があるなどの特別な場合を除いて手術はおこないません。
 ★いずれの場合でも治療には専門的な知識と経験が必要です。特に不完全な治療がおこなわれ、変形や跛行などの障害を残した場合、高齢者ではおおきなハンデとなります。かならず整形外科専門医の治療をうけてください。

4 予防
1) 一人歩きを避け、家族が介助するなどの日常生活に関しては一般的な注意でよいと思われます。
2) 1b3)であげました基礎疾患については各科専門医で治療をうけてください。ここでは整形外科に関連の深い骨粗鬆症について述べます。
 骨粗鬆症とは、骨がスカスカになってもろくなった、いわば骨が老化した状態をいいます。とくに高齢者では30%以上が高度の骨粗鬆症に罹患していると推定されます。詳細は別の機会に譲り、ここでは普段からの注意を述べます。
a)

運動療法
適当な運動により骨に刺激をあたえ、骨の萎縮を防ぐ。

b) 食事療法
牛乳を中心としてカルシウムを最低1日600mg以上摂取し、またバランスのとれた食事をこころがける。
c) なるべく日光にあたる

5 さいごに
 最近人間ドックと同じように“骨ドック”といって、骨塩定量などにより自分の骨の状態を把握することが出来るようになりました。遅くとも女性では更年期を過ぎた頃から定期的に受診することは意義のあることと思います。また、かかりつけの内科医を持つのとおなじように、普段から“骨”のことをみてもらうかかりつけ整形外科医を持つこともこれからは重要となってくると思います。
 “予防にまさる治療はない”bこの言葉をよくかみしめて、健やかな老後を過ごせるように、いまからでも努力を始めましょう。

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