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 肩こりの謎―なぜ日本人に多いの?

1 はじめに
 皆さんの中にも肩こりに悩むひとは多くいらっしゃると思います。当院の患者さんでも、腰痛の次に多い訴えが肩こりです。特に中年女性に多いようです。こういったかたは若い頃から肩こりに悩んでおられたかたが大半です。また、統計的に、外国人特に欧米人では肩こりに悩むひとはほとんどいないようです。英語には“肩こり”に相当する単語そのものが存在しません。明らかな人種差があるようです。
 今回は、肩こりがなぜ日本人、特に女性に多いのか、の謎を解きながら、肩こりそして頸肩腕痛をきたす病気について考えてゆきます。

2 なぜ肩がこるの?
 さて、頸肩部すなわち首から上肢へ連なる部分は、直立歩行をする人類にとって、一種のウイークポイントであるといえます。猿などの4つ足歩行をする動物に比べて、重い頭部を支えて直立で歩く頸肩部および腰部にかかる負担がより大きいのです。(そういえばゴリラの肩こりなんて聞いた事がありませんね。実は腰痛も直立歩行が大きな原因なのですが、これについてはまた別の機会に譲ります。)
 頸椎は前に凸の、ゆるやかなカーブを描いて頭部を支持しています。バランスの保たれた、自然に直立した状態でしたら、ほとんど頸肩部の筋肉の緊張が必要ありません。しかし、いわゆる猫背や、歩行時などで頭部が前方に移動した状態ですと、“てこ”の原理で、頸肩腕の筋肉の緊張による保持が必要となります。また、このような状態では、血管が圧迫されて、血液の流れが悪くなり鬱血し、老廃物が筋肉に蓄積されます。この結果、頸肩部の筋肉が硬くなり、痛みやしびれをきたした症状が“肩こり”なのです。

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