Page Top 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 慢性関節リウマチの正しい知識2

2
2) 薬物療法
 昔とちがって現在は多くの抗リウマチ薬が開発され、私たちリウマチ専門医にとって、慢性関節リウマチと闘う武器が豊富にあることはありがたいことなのですが、それだけに個々の患者さんに効力のある薬を選ぶことが肝心となってきました。ひとくちに慢性関節リウマチといっても、患者さんそれぞれでその病態が異なります。リウマチ専門医の仕事の多くは、“それぞれの患者さんに効く薬を選び出すことだ”といっても過言ではありません。薬理効果、副作用などを厳重にチェックしながら薬物療法をすすめてゆきます。
3) リハビリテーション
 大きく分けて運動療法と物理療法があります。前者は、リウマチにおかされた関節の動きを改善したり、筋力を増強させます。後者は、関節の腫れや痛みを軽減するために温熱療法や電気治療をおこないます。
 これらはいずれも手術をしないでおこなう保存療法といわれますが、整形外科医(リウマチ専門医)が緻密な計画を組んで、かつ3者が系統的に一体となっておこなわれてこそ効果的な治療といえるのであって、たとえば、整骨院や整形外科専門医以外の医院などで電気だけあてても慢性関節リウマチの治療とはならないということはいうまでもありません。

3 慢性関節リウマチで10年間治療を受けていますが、最近膝の変形と痛みがひどく、人工関節の手術を勧められました。どのような手術でしょうか。
 前述の保存療法では慢性関節リウマチで高度に破壊された関節の治療には限界があります。このような場合に手術療法が選択されます。おおきくわけて、関節はそのままにする手術(滑膜切除術など)と破壊された関節を人工のものにそっくり置換して関節機能の回復を図る手術(人工膝関節置換術など)があります。痛みがとれ、関節がまがるようになるなどの利点がありますが、耐久性などの点でまだ問題があり、若い人にはすすめられませんので症例を選んで行なわれます。あなたの場合も担当の主治医とこれらの長所や短所をよく相談してください。

4 最後に
 慢性関節リウマチに関して基本的な知識を述べましたが、素人療法やいわゆる民間療法も医学的な根拠はなく危険です。慢性関節リウマチはリウマチ専門医のもとで正しい治療をおこないさえすればかならずコントロールできる病気であり、いたずらにおそれることはないことを最後に強調して筆をおきます。

←back next→