当院における交通事故診療Q&A

開院以来1000件に及ぶ交通事故を扱った経験から、交通事故の診療の実際についてわかりやすく説明いたします。


はじめに

わたしは平成3年に三村整形外科を開設して以来1000件におよぶ交通事故診療に整形外科・リハビリテーション専門医としてたずさわってきました。この豊富な経験から当院における交通事故診療についてご説明いたします。

幸いなことに交通事故件数発生件数は年々減少しておりますが、当院で扱う交通事故の患者さんは逆に増加の一途をたどっております。

当院の特徴は、「紹介されて来院される患者さんが非常に多い」ということです、一度当院で治療を受けられた患者さんからの紹介や、自動車関係の会社の事故担当者からの紹介などが多いのです。
これはいままで適切な診断を下し、かつ適切な治療をおこない、様々なトラブルにも誠実に対処してきたことが評価されたからではないかと自負しております。

交通事故にはだれもまきこまれたくはありません。
しかし不幸にも遭遇してしまったら、親身になって治療してもらって事故前の元気な体に治してほしいとおもうのが当然ですね?

しかしながら多くの整形外科診療所では熱心に治療してくれないという声が多く聞かれます。理由は保険会社との折衝が面倒だ、裁判にまきこまれたくない、後遺障害診断が煩雑だ、、などです。

実際に交通事故診療おことわりの診療所もあると聞いております。

わたしは適切な診断を下し、かつ適切な治療をおこない、様々なトラブルにも誠実に患者さんの立場に立って診療にあたることを方針としています。

また、後遺障害診断書については「できるかぎり正確かつ詳細に記述する」ことにしています。

なぜなら、症状固定後に残存する機能障害,運動障害,神経症状などの症状が後遺障害として認定されるためには、後遺障害診断書が唯一の医学的根拠となるからです。

後遺障害に認定されるか、されないかで支払われる保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)に大きな差が出るのです。

正確かつ詳細な後遺障害診断書がきわめて重大な意義を持つことをまずご理解いただきたいと存じます。

Q&A方式で皆さんの疑問にお答えします。気楽にお読みいただけるように配慮いたしました。交通事故診療について少しでもみなさんのご理解が深まればこれに勝る喜びはありません。


交通事故にまきこまれました、初めての経験で動転しています。貴院での治療について教えてください。

事故に遭遇した方はだれしも動転されますまず冷静になってください。

次に警察にきてもらって事故の調べ、つまり現場検証をしてもらいます。そしてあなたの保険会社に連絡して事故の報告をするとともに、相手方の身分を運転免許証などで確認して、連絡先および加入する保険会社を記録します。お互いに多忙でしょうから、救急搬送などの重大事故でなければ、ここでいったんその日は終了です。

当院の場合でいいますと、事故翌日に来院されることが多いです。当日は気が立っていて痛みを感じなかったのに、翌朝強烈な頸肩腕痛や腰痛がでてきた、といったことが多いです。

相手方の保険会社からすでに一括取り扱いの連絡があった場合は、窓口負担は無料となります。もしまだ確定されていなければ通常の保険診療となりますので、かならず保険証をご持参ください。

検査代や診断書料などでおおきな金額となることがおおいため、患者さんの利便を配慮して当院では5000円の保証金ですませて、保険会社から連絡があった時点でご返金する、というシステムになっております。

さて、具体的な診療について説明いたします。

  1. まず単純レントゲン検査で疼痛該当部位、首が痛いなら頸椎、腰が痛むなら腰椎を検査します。
  2. 骨折の有無、変形性脊椎症や変形性関節症などの疾患を精査します。
  3. 次に必要な検査をおこない、末梢神経障害、筋挫傷、筋肉内血腫、靭帯・腱損傷などを精査します。
  4. そして、疼痛該当部位のリハビリテーション(消炎鎮痛処置、理学療法・運動療法)を開始します。

リハビリテーションは継続することで効果が発現してきますのでできるかぎり来院してうけていただきます。
必要に応じて頸椎カラーや腰部固定帯などの装具療法をおこない、薬物療法としてロキソニンなどの消炎鎮痛剤などを処方します。

そして最後に「診断書」を発行いたしますので、事故担当してもらった警察署に提出して人身事故扱いとしていただきます。

最初の診断書には「向後2週間の通院加療を要する見込みである」と記述しますが、よく誤解されますがこれは「2週間で完治する」という意味ではありません。

「当座は2週間治療して経過を見ますが、2週間後に再度診察して必要なら治療を延長します」という意味にお考え下さい。(後述しますように、大多数の症例では数か月で治療を終了しますが、症状固定から後遺症診断まで半年以上かかる場合もあります)

これが当日の一連の治療の流れです。時間にして大体1時間程度です。

翌日以降にできるだけ早く相手方の保険会社から当院宛に連絡をいれていただきます。相手方の保険会社に「交通事故の治療で三村整形外科に通いますので連絡してください」と告げてください、相手方の保険会社から連絡がありましたら、保証金はお返します。

治療費を相手方保険会社に請求いたしますので、以降の受診では被害者の方は窓口負担金はお支払いただく必要はありません。大多数の方は初診後数か月でほぼ完治されて主治医であるわたしが症状固定と診断してから示談交渉にはいることになります。交渉が妥結すれば賠償金額が確定し、支払われて完結、ということになります。

しかしながら、一部の症例では治療に尽力しても頸肩腕痛や腰背部痛が遷延して半年以上たってもなかなか完治しないことがあります。このような症例では、ある程度の時期に症状固定と判断することが必要となってきます。症状固定とは「もうこれ以上治療に手を尽くしても症状の改善が見込めない状態」です。

おわかりでしょうが、この判断が実に難しいのです。まさにわたしの臨床経験をフルに活用して行ういわば真骨頂、というわけです。もちろん患者さんにも説明してご納得いただいたうえのこととなります。

そして症状固定と判断して時点で残存する神経症状、疼痛症状、機能障害,運動障害、などの症状や挫創・裂創などのケガによる醜い皮膚の瘢痕など、すなわち後遺障害について後遺障害診断書を作成します。通常の場合、患者さんはこの後遺障害診断書を相手方保険会社に提出して障害系列の等級の認定を依頼し、その結果を待ってから示談交渉にはいることになります。すべてが解決するには半年程度かかることをご承知おきください。

わたしは後遺障害診断書が完成した時点で、以後の被害者請求や示談交渉などについては弁護士に依頼して任せることをお勧めしております。(弁護士については関連するQ8およびQ10をご参照ください)

仕事の関係で遅くなるため病院の受付に間に合いません。遅くまであいている接骨院に通おうかと思っていますが問題ないでしょうか?

保険会社の了承があれば、交通事故で接骨院や針灸治療院で施術(治療ではありません)を受けることは可能です。しかし、いくつかの問題点があることを指摘しておきたいと思います。

まず、接骨院や針灸治療院はいわゆる医業類似行為といって、医師ではないので、診断および医療行為により治療をすることが法律で禁じられています。

法律で定められた範囲での医業類似行為による「施術」がなされることになります。もちろん薬事法により、消炎鎮痛剤やシップの処方も許されませんし、法律により診断行為が禁じられているので、傷病の診断や今後治療が必要であるという診断書の発行もできません。

当然ながら、後遺障害診断書の発行もできませんので、「障害系列の等級」の認定をうけることはできません。その結果、きちんと医療機関で診断・治療を受けて「障害系列の等級」の認定をうけた場合に比べて支払われる保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)も圧倒的に少ない金額となってしまいます。

私の経験で申しますと、整形外科専門医のもとできちんと診断されて治療をうけるのに比して結果として被害者にとっては極めて不利であると断言して差し支えないと思います。しかしながら、ご質問のように患者さんのご都合によっては整形外科専門医のもとでの診断・治療を継続して受けることができないケースがあるのも実情です。私の場合、原則として接骨院などの医業類似行為とかかわりあうことはお断りしております。

私自身が医業類似行為を熟知しているとはいえないことと、医業類似行為でおこった事故などの責任が施術業者ではなく、同意書を交付し、医業類似行為を指示した医師に問われるという現実があるからです。(いろんな施術事故に関する裁判の判例がありますので、興味のある方は検索してみてください)

ただし以下の条件が遵守される場合は例外として認めております。

  1. 保険会社の承諾を得ていること。
  2. 主治医である私自身が診察して、診断を確定し、診断書を発行して医業類似行為による施術を指示する。
  3. 毎月定期的に、少なくとも週一回は主治医である私自身が診察して、必要な検査・投薬をおこない翌月以降からも施術が必要であるかどうかを判断する。不要と判断すればその時点で施術は終了する。必要と判断したならば翌月以降も施術が必要という旨の診断書を発行し、保険会社に送付する。
  4. 診察・投薬・検査などの当院でかかった費用は通常どうりの手順で保険会社に請求して支払ってもらう。
  5. 症状固定の診断は主治医である私が行う。
  6. 後遺障害診断書が必要な場合は、症状固定の診断を主治医である私が行ない、施術を終了した後に主治医である私自身が作成する。

お尋ねのケースのようなことは往々にしてわたしも経験しておりますので、患者さんのご都合を聞いて上記の条件を遵守していただくことができるようであれば、対応するようにしております。

ただし、最初だけ医療機関に受診した後に勝手に医業類似行為による施術をうけ、最後に医療機関を受診して診断書を書いてもらうという、いわゆる「なか飛ばし」には一切応じておりません。最近は、病院・医院と医業類似行為での施術を併用することは、保険会社はあまりいい顔をしないようです。本当にやむを得ない場合にしか許可されないとご承知おきください。

ご参考までに、日本臨床整形外科学会が医業類似行為についてわかりやすく解説したサイトをご紹介いたしますので、ご高覧願います。
http://www.jcoa.gr.jp/gozonzi/content/zyuusei.html

第三者行為について教えてください。

交通事故やケンカでの傷病には本来健康保険は使用できない決まりになっております。ただし、健康保険組合が認め、所定の申請書類を提出して承認された場合は健康保険が使用できます。この場合医療機関は通常の傷病に準じて治療をおこなうことになります。

患者さんから依頼があれば後遺障害診断書を書くことは可能です。健康保険法療養担当規則で定められておりますので、患者さんは毎回所定の窓口負担金を支払わねばなりません。

また、保険会社が認定した一括請求による自費診療ではありませんので、健康保険法で定められた範囲での検査・投薬しかできません。私の経験で申し上げますが、そのため特殊な検査などが施行できないため、「障害系列の等級」の認定に影響がすくなからずありました。

これらの理由から交通事故の治療には健康保険を使用することは適当ではなく、やはり加害者側保険会社が自賠責保険と任意保険を一括して管理して、治療費の支払いや賠償金の支払いに責任を持つことがベストであると断言します。

加害者側から健康保険の使用を求められても患者さんの同意がなければ使用はできないことをお知りおきください。健康保険の使用を被害者に強要することは健康保険法に反する違法行為となります。

後遺障害についておしえてください。

後遺症、後遺障害とは半年以上加療をおこなったあと、症状固定となった時点で残存する神経症状、疼痛症状、機能障害,運動障害、などの症状や挫創・裂創などのケガによる醜い皮膚の瘢痕などのことをいいます。

Q1で述べましたが、大多数の症例では数か月の加療で完治しますが、一部の症例では治療に尽力しても頸肩腕痛や腰背部痛が遷延して半年以上たってもなかなか完治しないことがあります。

わたしの経験では、信号待ちや渋滞で停車中に追突されたときや、歩行者や自転車で無謀な運転者に衝突された、といった無防備な状態で、不意に衝撃が加わった場合に重症化遷延化することが多いという印象があります。

このような症例では、日常生活や仕事での支障も高度であり、後述する損害賠償金や慰謝料が高額になりやすいです。

後遺障害診断書とはどんなものですか?

後遺障害診断書は正式名称を、自動車損害賠償責任後遺障害診断書といいます。

治療を担当した主治医が、症状固定となった時点で残存する神経症状、疼痛症状、機能障害,運動障害、などの症状や挫創・裂創などのケガによる醜い皮膚の瘢痕などを詳しく記述します。

後遺障害診断書の実物をまずご高覧ください。

氏名・傷病名などに続いてあります「自覚症状」について説明します。

これは、頸肩腕痛や腰背部痛の疼痛症状やしびれ、そしてそれがどのような動作をしたときに、たとえば重量物を運搬したとき、車を運転した時などにどのように痛むのか、などについて具体的に記述します。

次に「各部位の後遺障害の内容」について各項目について順を追って説明します。

  • (1)精神・神経の障害 他覚症状および検査結果

    単純レントゲン検査・MRI・CT検査などの検査の結果を記入します。
    (この狭いスペースには当然記載しきれませんので、検査結果のコピーなどは添付文書として付帯することになります)

    実はこの項目が、障害系列の等級の認定をうけるにあたって最も重要なのです。といいますのは、これらの諸検査の結果が「自覚症状を医学的に証明しうる他覚的所見」として判断されるからです。ただ単に首が痛い、腰が痛い、だけでは、自覚症状でしかありません。

    他覚的所見として医学的に証明されて初めて、障害系列の等級の認定の判断の対象となるのだということをご理解ください。

  • (2)から(6)は泌尿器・眼科・耳鼻科などの領域の後遺障害ですので割愛いたします。いままでは幸いにして遭遇はしませんでしたが、交通事故で視覚や聴覚を失った場合などに記載がなされます。

  • (7)醜状障害

    これは自転車で転倒して裂創を負い、皮膚縫合などの創傷処理をうけたあとに残った醜い皮膚のケロイドなどが該当します写真を撮って、形状や長さを記録します。

  • (8)脊柱の障害

    腰椎などの脊椎の圧迫骨折や脱臼がある場合はレントゲン写真を添付して記述します。

  • (9)体幹骨の変形

    鎖骨骨折・橈骨骨折などの骨折について変形治癒した結果についてレントゲン写真を添付して記述します。

  • (10)上肢・下肢および手指・足指の障害

    これも重要な項目です、頸肩腕痛のために頸椎可動域制限がある場合や、腱板損傷により肩関節の可動域制限がある場合について、関節可動域を測定して記載しますまた、まれですが交通事故で指を切断した、などについても記述します。
    最後の項目は「障害内容の増悪・緩解の見通しなどについて記入してください」です。

この項目では、いままでおこなった治療について詳述し、十分に手を尽くしたが、現在の症状について「これ以上の改善が見込めない」と判断した経緯などについて詳しく記述します。
(この狭いスペースには当然記載しきれませんので、検査結果のコピーなどは添付文書として付帯することになります)

結果としてかなり分厚い別紙添付文書が付帯した診断書となりますが、主治医である私が精魂込めて作りあげた苦労の結晶であるとご理解ください。

損害賠償金・後遺症慰謝料について教えてください。

交通事故の被害者が後遺症をもたらす傷害を負った場合には,その障害の程度に応じて保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)が支払われます。

障害の程度を客観的に判断するに際しては後遺症のうち,自動車損害賠償保障法施行令(自賠法施行令)に定めるいずれの障害に該当するか、すなわち「障害系列の等級」の認定を受ける必要があります。

この認定には治療を担当した主治医による診断書が必要です正式名称は「自動車損害賠償責任後遺障害診断書」といいますが、この診断書が正当な損害賠償を受けるにあたって極めて重要なのですなぜなら、これが「障害系列の等級」の認定を受けるにあたって唯一の医学的かつ法律的な根拠となる公文書となるからです(詳しくはQ3.をご参照ください)

「障害系列の等級」の認定を経て、加害者側保険会社との示談交渉にはいり、損害賠償金・後遺症慰謝料が提示されます納得がいけば署名捺印がなされて交渉は終了となります。

交渉は被害者ご本人がされてもかまいませんが、素人がやるには難しく、また私の経験では往々にして弁護士を依頼して被害者請求および示談交渉を行った場合に比べて提示される金額が低いことが多いので、わたしはお勧めしません。

後述するようにやはりプロである弁護士にまかせることが最良と考えており、患者さんにもお勧めしております(弁護士への依頼についてはQ8.をご参照願います)

「障害系列の等級」の認定について教えてください。

損害賠償金・後遺症慰謝料を算定するには、まず自動車損害賠償保障法施行令(自賠法施行令)に定めるいずれの障害に該当するか、すなわち「障害系列の等級」の認定を受ける必要があります。代表的な交通事故後遺障害であります、外傷性頚部症候群と末梢神経障害についてご説明します。

事故後つらく頑固な頸肩腕痛が持続する、上肢がしびれる、感覚が鈍くなった、車の運転時に頸部を回旋すると痛いので首の動きが制限されている、などの症状をきたす病態を外傷性頚部症候群といいますいわゆる「むちうち」にあたる医学的診断名です。

また、事故の衝撃で末梢神経が損傷されたために運動麻痺をきたしたり、末梢神経の支配領域のつらく頑固な疼痛・じんじんするような異常知覚・知覚過敏などが自覚される病態を末梢神経障害といいます。

これらの頭頸肩腕部や、上肢、背部に残存する症状が、神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明し得た場合は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として障害系列第12級に判定されます。

また、これらの頭頸肩腕部や、上肢、背部に残存する症状が、神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明し得ない場合であっても、受傷時の状態や治療の経過などから、連続性・一貫性が認められ説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定された場合は、障害系列第14級に判定されます。

「障害系列の等級」の認定を受けて保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)が算定されるのです。

ただ単に「首が痛い」「手がしびれる」といった自覚症状だけでは、「障害系列の等級」の認定をうけることは困難です。自覚症状を医学的客観的他覚的に証明する必要があるのです。

弁護士特約とはどんなものですか?

「弁護士特約」とは、弁護士費用特約ともいいますが、後遺書診断書の被害者請求や示談交渉などを弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用を一定限度まで自分が加入している任意保険会社が払ってくれる、という特約です。

契約時に数千円で特約をつけることができますので、近年はほとんどの方がつけておられますこの特約を使用しても等級が下がったり保険料が上がったりすることはありません。

余談ですが、この「弁護士特約」が一般化したことで、保険会社との交渉が一変しました。以前は、診療開始後極めて短い期間で一方的に治療費の支払いを打ち切ってきたりすることがありました。この場合はどうしようもなく泣き寝入りするしかありませんでした。(弁護士を立てて裁判に訴えるようなことは極めてまれでした)

しかしこの弁護士特約が一般化したため、保険会社のこういった荒っぽいやり方は近年鳴りを潜めました。

では「弁護士特約」がない場合はどうすればいいのでしょうか?

「車を運転しない家庭の主婦やお年寄りが、横断歩道で右折の車にはねられた」といったケースが該当します最近はこういったケースでも、手付金0で引き受けてくれる弁護士も多いようです
(診療所と同じで、弁護士の世界も過当競争なんでしょうか?)

最近は家族特約といって、配偶者や両親に加入者の保険の「弁護士特約」が適用されることが多くなっているのは被害者にとっては福音と申せましょう。機会がありましたらご自分が、あるいはご家族が加入されている任意保険で弁護士費用特約が付帯しているか確認しておかれるとよいでしょう。

被害者請求について教えてください。

被害者請求(ひがいしゃせいきゅう)とは、交通事故に遭った被害者が加害者側の保険会社を介さずに、自分で自賠責保険会社に対して後遺障害申請や保険金の請求を行う手続きです。

加害者側の保険会社に手続きを任せる事前認定が通常よくおこなわれますが、被害者が希望するのであれば、手続きを被害者自身で進める権利が認められているのです。

弁護士を介した示談交渉について教えてください。交渉はやはりプロである弁護士にまかせたほうがいいのでしょうか?

加害者側保険会社との示談交渉は素人では難しいです。

相手方はそれこそ百戦錬磨、海千山千の試合巧者、手練手管を駆使してすこしでも払うお金をねぎろうとしてきますとても素人が対等に交渉できる相手ではありません。たとえて言うなら、同じリングで戦うとはいえ、ボクシングの世界チャンピオンに素人が挑むようなものです勝てるわけがありませんね?

当院では保険会社に対する後遺障害申請や示談交渉および保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)の請求などに関してはできるだけ弁護士に依頼してお任せするようお勧めしております。私の経験で申し上げますと、弁護士を介さないで、被害者ご本人が加害者側の保険会社に手続きを任せる事前認定では障害系列の等級の認定がなされることがまれで、多くの場合「該当なし」となってしまいました。(推測できる理由はいくつか考えられますがここではあえて触れません)

その結果、保険会社から提示される保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)も、弁護士を介した場合と比べて著しく低いことが多かったです。保険会社との交渉は被害者の側に立って親身に交渉してくれる法の番人である弁護士に依頼するほうが、被害者にとってあらゆる面で有利であると私の経験から断言します。

では具体的に弁護士に依頼するにはどうしたらいいのでしょうか?

ネットで「交通事故弁護士」で検索してみてくださいそれこそ星の数ほどヒットします。しかしながらアクセスしてみると、みな一様に「保険会社と示談交渉してOO万円かちとりました」「後遺障害等級OO級でOO万円が支払われます」など耳障りの良い言葉が列挙されています。

わたしには実に不思議に思えます。

「交通事故を誰がどのように治療し、どのように後遺障害診断書を書いたのか」という最も肝要なことについてまったくといていいほどふれられていないのです(繰り返しますが、先述しましたように、主治医の治療、そして主治医が診断した後遺障害診断書が障害系列の等級の認定を受けるための唯一の医学的根拠なのです)これでどうして「OO万円」がGETできるのか?不思議でなりません。

このようにネットには弁護士に関する情報が溢れており、まさに玉石混交だからこそ、本当に信頼できる弁護士を選ぶことが大事なのです。

せっかく整形外科診療所できちんと診断・治療を終えたのですから、ここをおろそかにしてしまうことは画竜点睛を欠くことになってしまいます。

また弁護士の技量によって得られる保険金(損害賠償金・後遺症慰謝料)にも大きな差がでますので、こういった意味でも、信頼できる良い弁護士を選んで依頼することがより一層大事であるといえます。

信頼すべき主治医のあとには信頼すべき弁護士、これが肝要であると申せましょう。

繰り返しますが、保険会社との交渉は被害者の側に立って親身に交渉してくれる法の番人であり交渉のプロである弁護士に依頼するほうが、被害者にとってあらゆる面で有利であると私の経験から断言します。

さいごに

三村整形外科における交通事故診療について、Q&A方式でご説明しました。できるだけわかりやすいように心がけたつもりですが、ご理解いただけたでしょうか?

いつでもお気軽に電話またはメール:info@mimuraseikeigeka.jpでお問い合わせください。
院長である私が誠意をもってお答えいたします。