あうと・おぶ・ばうんず


平成の開国? 平成の壊国? TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加で日本の医療はどう変わるのか? 国民皆保険が壊滅する?

<はじめに>

 いまTPPへの参加の問題がとりざたされている。 昨年年初の演説では菅前総理は一切ふれていなかったTPPがなぜいま突発 的に問題となっているのか不思議としか言いようがないが、、

 一般に関税撤廃で農業がおおきな影響をうけることがいわれているが、本当に農業だけなのだろうか?隠された意図目的はなんな のだろうか?と思って調べてみた結果、実は甚大な影響を受けるのは日本の医療であって、米国の本当の目的が、国民皆保険制度廃止、 自由診療への株式会社としての参入であることを知って私は愕然とした。このままでは日本の医療は壊滅する。。。そして、今の民主党 政権とマスゴミは一体となってTPP参加への流れをつくっている。

 もちろん反対勢力も活発な活動を続けているが、まだまだ大衆レベルにまで浸透していないのが現状である。 わたしは、やむにやまれぬ気持ちで警鐘を鳴らす目的で本稿を執筆した。
読者諸兄もこの機会に、TPPと日本の医療について考えていただきたい。

 さて、日本医師会は下記のようなTPP反対の見解を発表した。

日本医師会がTPP反対の見解発表

 日本医師会は、昨年の12月1日の定例記者会見で「日本政府のTPP参加検討に対する問題提起??日本医師会の見解」を発表しま した。それによりますと、「TPPへの参加によって、日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につなが りかねない面もあると懸念される」とし、4つの懸念事項を挙げています。1つは、混合診療の全面解禁です。2つ目は、公的医療保険 の安全性の低下です。3つ目は、株式会社の医療機関経営への参入による患者の不利益の拡大です。4つ目は、医師・看護師・患者の国 際的な移動によって医師不足・医師偏在に拍車がかかり、地域医療を崩壊させる恐れがあるということです。

 さすかば日医、簡にして要をえた意見を発表している。本稿は基本的にこの意見にそって論をすすめゆく。

 その前に、例によって、わき道にそれて恐縮であるが、そのTPPを推進する民主党についてこれだけはいっておきたい。
先日野田新内閣が発足した。史上最低の馬鹿といわれ、海外からも「HE IS LOOPY!=(アホ)」といわれた鳩山氏のあとをついだ管氏、さすがにまえよりはましだろうとおもっていたら、さ にあらず、今度は史上最低の無能総理として歴史に名を残した。

  2009年総選挙で、詐欺まがいのマニフェストにまんまと騙された国民の支持をうけて躍進した民主党の胡散臭さ、まがいもの、無能ぶりに さすがに民衆もこりたようだ。

 もう騙されないぞ!とばかり、いま総選挙がおこなわれたら我が医師会が支持する自民党単独政権も夢じゃないとか、、民主党は 100議席を割るだろう、いや雲散霧消するだろう、、という専門家の予測。で、選挙はまずい!というわけで、ただ単に解散総選挙を やらないからという理由だけで選ばれたのが泥鰌野田新総理だった。 自分たちが、自民党のことを散々批判して、「直近の民意は自民 党にはない!、いますぐ解散して国民の信を問え!」なんて吠えていたことはすっかりお忘れになったようで、、

 とにかくわたしは民主党および野田総理にいいたい。
野田総理よ、第三次補正予算が成立したら直ちに解散総選挙で国民に信を問え!

 前置きが長くなって恐縮であるが、さて、本題のTPPである。
まず、本題にはいるまえに、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とはなんであるのかおさらいしておこう。 例によって、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用させていただく。

環太平洋戦略的経済連携協定

環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、TPP、Trans-Pacific Partnership、ま たはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、元々2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージ ーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。これらの国々が太平洋を囲む関係であった事からこの名が付けられ、環太平洋間での経 済協定として始まった。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、貿易関税については例 外品目を認めない形の関税撤廃をめざしている。環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋パートナーシップ協定とも呼ばれるが、小国同士の戦略的提携によりマーケットでのプレゼンスを上げる事が、TPPの発足時の目的である。

概要

2006年5月に4カ国加盟で発効した経済連携協定であったが、2010年10月よりアメリカ主導の下に急速に推し進められる事となり、TPPの転換点と見られ加盟国・交渉国間で協議を行い2011年のAPECまでの妥結を目標にしている。

また、加盟国・交渉国に日本を加えた10カ国のGDPを比較すると、その9割以上を日米2カ国が占めるため、実質は日米FTAだとの見方もある。

2015年までに加盟国間の貿易において、工業品、農業品、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどをはじめ、全品目の関税を10年以内に原則全面撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指すFTA(自由貿易協定)を包括するEPA(経済連携協定)を目標としている。実質関税自主権の放棄である。

また農林漁業のダメージや食料安全保障の観点から、多くの道府県議会から反対の意見書提出や特別決議の採択が相次いでいる。

金融分野において、現時点の郵政改革関連法案は金融の非関税障壁となっており改正の必要があると米国が問題視しているという報道がある。これに対し郵政・金融担当相自見庄三郎は、報道などが先走っており、仮に日本がTPP交渉参加を表明した場合でも米国がいかなる要望をしてくるかは現段階で不明であると会見で説明している。

ほか、これまでのような外国企業の進出・投資規制や労働者の受け入れ制限が難しくなるといった指摘もある。

連携協定の対象

加盟国と交渉国がまとまり交渉の作業部会を設けている。連携協定が目指す貿易に関する作業部会の主な議題は次の通り。

  • 工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃
  • 金融、電子取引、電気通信などのサービス
  • 公共事業や物品などの政府調達方法
  • 技術の特許、商標などの知的財産権投資のルール
  • 衛生・検疫
  • 労働規制や環境規制の調和
  • 貿易の技術的障害の解決
  • 貿易紛争の解決

各国の動向

シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国は協定を締結済み。

当初の4加盟国につづき、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが参加を表明し、ラウンド(交渉会合)に臨んでいた。次いで、マレーシア、コロンビア、カナダも参加の意向を明らかにしたが、カナダの参加については2010年10月に酪農などの市場開放が十分でないとの理由でカナダは参加を断られた。韓国は参加に前向きな姿勢を見せていたが、その後の検討によりTPPの参加国利害が不利に働くことを懸念しFTA交渉へと舵をきり、韓米FTA交渉で合意、妥結へ至っている。

中国は関心を示し情報収集などを行っていたもののその後の判断で参加しない事を明らかにした。また、ベトナムについては、associate(準参加国)として、交渉に参加しているものの、今後、正規の交渉メンバーとして臨む覚悟があるや否やについて疑問視する向きもある。ニュージーランド政府はTPPにそれほどメリットがあるとは考えていないとアメリカの外交文書が伝えていたことがウィキリークスに暴露されている。その一方で表向きニュージーランド政府は、TPPは外交の主要な柱とすると国内の説得も行って いる。また、台湾とフィリピンも参加の意向を表明している。

2010年11月14日、APECの最終日、先に加盟したシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド4カ国と新たに加盟を表明しているオーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアの5カ国、計9カ国の政府首脳はバラク・オバマアメリカ合衆国大統領を議長とし、「2011年のAPECまでに妥結と結論を得ることを目標にしたい」との呼びかけに賛同した。

日本

2010年10月8日、菅直人首相は自身が設置した新成長戦略実現会議で、「米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有するための環境を整備するにあたっては、EPA・FTAが重要である。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を視野に入れ、APEC首脳会議までに、我が国の経済連携の基本方針を決定する」という旨の総理指示を出した。

11月9日、菅内閣は関係国との間での経済連携強化に向け「国を開く」という観点から、農業分野、人の移動分野および規制制度改革分野において、適切な国内改革を先行的に推進すると閣議決定を行った。与野党でも賛否両論の中核である農業分野は関係大臣からなる「農業構造改革推進本部(仮称)」を設置し、2011年6月をめどに基本方針を決定する。さらに情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を始めるとしている。

11月13日、9日の閣議決定に沿い菅直人首相はAPECにおいて「日本はまた再び大きく国を開くことを決断した」と述べ、交渉参加に向けて関係国との協議に着手することを正式に表明し、また「貿易の自由化いかんにかかわらず、このままでは日本の農業の展望は開けない」とも述べ農業の競争力強化への取り組みの決意も示した。

11月30日、菅内閣は「食と農林漁業の再生推進本部」を発足し、首相、関係閣僚と民間有識者11人からなる「食と農林漁業の再生実現会議」を設置し初会合が開催された。この初会合ではこの協定(TPP)への参加と農業の改革や国際競争力強化の両立論や協定への参加を前提としないなど意見は分かれた。2011年1月21日、この会議は米作などの場合、一定の広さの水田が必要な土地利用型農業、農地集約による生産性を向上させ競争力の強い農家の育成、集落の機能強化、土地を所有するが自らは稲作を行わない者への支援など提案している。

12月3日、第4回ニュージーランド・ラウンド(交渉会合)に、まだTPPへの参加を決定していない日本はオブザーバー参加を打診していたものの、オブザーバー参加が断られたと大畠章宏経済産業相は記者会見で述べ、(交渉会合の)参加国はTPPに関する交渉で忙しく、個別接触も難しかったとしている。交渉会合終了後に、政府は参加各国を個別に訪問し内容を確認するとした。

12月9日、経済産業省は「農業産業化支援ワーキンググループ」を立ち上げ、資源エネルギー庁、中小企業庁や関係団体として日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会、日本貿易振興機構、中小企業基盤整備機構をメンバーとして農林水産省とは違った立場から農業の産業化を支援する作業部会を始めた。

2011年2月現在、30以上の道府県議会で反対、ないし慎重な対応を求める意見書が採択されている。

2011年2月26日、政府は公開討論会「開国フォーラム」をさいたま市で開いたが一般参加者からは情報不足の不満が相次いだ。会場からの質問に平野達男副内閣相は十分に答える事ができず政府の情報不足も露呈する形となった。

2011年3月4日、全国農業協同組合中央会の茂木守会長は「農業復権に向けた提言」の改革案を発表。これは今後5年間に全国の中山間地域で10から15ha、平地で20から30haへと水田の面積の集約化を実施するもので各集落毎にJAの実施担当者を配置し、「担い手」を明確にするとした。ただし、TPPへの参加は反対としている。

2011年3月29日、菅直人首相は参議院予算委員会の加藤修一(公明党)への答弁で「2011年東北地方太平洋沖地震の被災も極めて重要な段階でありその対処と復旧や目下の福島第一原子力発電所事故への対応を優先させ、これらの状況の方向性がある程度見えた後で改め て検討する必要があると思っている」と、2011年6月をめどに基本方針を決定する方針の先送りを表明したが、5月17日閣議決 定により交渉参加の判断時期については総合的に検討するとして先送りされた。

アメリカ

アメリカは2000年以降、「Asiaonly」(アジアのみ)の経済ブロック化に対する懸念をもっていたが、TPPの拡大を進めることは「アメリカ締め出し防止」を推進するための機会にもなる。

2011年3月30日、アメリカ合衆国通商代表部ロナルド・カーク代表はワシントンD.C.での講演会で、2011年東北地方太平洋沖地震の被害への復興や福島第一原子力発電所事故の対処のために日本政府は専念すべきとして、2011年6月までにTPPに参加するかどうかの基本方針決定の先送りを容認すると述べた。

構成国GDP(参加未定含む)

加盟国・交渉国・参加未定国(日本)のGDP割合は以下のとおり

  • アメリカ(交渉国):67%
  • 日本(未定国):24%
  • オーストラリア(交渉国):4.7%
  • その他(7か国):4.2%

例外品目

全ての品目から関税をなくすことが原則であるため、例外品目は認められていない。現在関税が認められている品目はすべて、付属書Iで段階的な関税撤廃が明記されている。少なくとも現在、条文で関税撤廃の例外と認められた品目を見つける事は出来ない。

2011年3月28日、第6回交渉会合が始まった。アメリカは砂糖などを関税撤廃の例外を求めている模様と読売新聞はシンガポールからの記者の記事として報じている。これはアメリカとオーストラリア間のFTAでは砂糖など108品目の関税撤廃の例外としており、TPPでも同じ扱いを求めるとの見方による。しかし、第6回交渉会合を終えた2011年4月1日、ニュージーランドのシンクレア首席交渉官は「関税撤廃の例外は認めない」と改めて強調している。

TPPに対する試算・評価

TPP加入による経済効果として、内閣府はGDP2.4~3.2兆円の増加、農水省は11.6兆円の損失と雇用340万人減(廃業農家による代替の生産活動が一切行われない場合)、経産省はTPPに不参加の場合は参加した場合に比べてGDP10.5兆円減と雇用81.2万人減(日本は不参加の中で韓国が米中EUとFTA締結した場合)との試算を発表している。(著者注:ただしこれは10年間の積算である。言い換えれば、年2000-3000億円のGDP増加である。わが国のGDPに比して無視できるくらいのものであろう。何故か経産省はこのことを明らかにしていない)

また、日本経団連会長米倉弘昌は記者会見で「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」と語った。

識者の間でも評価は分かれている。例えば、竹中平蔵や、高橋洋一、大川良文らは好意的な評価を与えている。

一方、中野剛志、藤井聡、東谷暁、三橋貴明らは貿易差額主義的な考え方や道徳観、協定のイニシアチブをめぐる力関係への懸念から、TPP加入は国益にならないと主張している。

交渉会合スケジュール

ラウンドと呼ばれる交渉会合のスケジュールは、2011年まではすでに開催予定国が決定している。

TPPラウンドスケジュール
開催月開催国
2010年3月第1回オーストラリア-アメリカなど4カ国が参加表明
6月第2回アメリカ合衆国
10月第3回ブルネイ-マレーシア参加表明
12月第4回ニュージーランド
2月第5回チリ
3月第6回シンガポール
2011年 6月第7回ベトナム
9月第8回アメリカ合衆国
10月第9回ペルー

関連する制度的基盤の整備

前原誠司外務大臣は、2011年1月6日、アメリカの戦略国際問題研究所における外交演説において、

      「覇権の下ではなく、協調を通じてアジア太平洋地域全体を発展させることが、各国の長期的利益と不可分一体であるとの基本的な考え方に立ち、新しい秩序を形成すべきです。その一環として、途上国の開発と経済成長を支えてきたインフラの整備に加え、法の支配、民主主義、人権の尊重、グローバル・コモンズ、知的財産権の保護を含む自由で公正な貿易・投資ルールといった制度的基盤(institutionalfoundation)を整備していくことが必要です。」
との主張をした。

なお、日本は、これまでもJICAの枠組みなどを利用しつつ、アジアにおける制度的基盤の整備への協力を進めてきた。その具体例としては、法務省法務総合研究所国際協力部による基本法(民法、民事訴訟法など)や司法制度の法整備支援、特許庁による知的財産制度の法整備支援などが挙げられる。また、金融庁も、アジア諸国との間で、金融・資本市場に関する政策協調を推進していく方針を発表している。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 比較的よくまとまっており、ご参考になろうかと思うが、さらにくわしくおしりになりたいかたは、以下の著作を是非およみになって いただきたい。
TPP参加がいかに危険で、国を破壊する悲惨な結末が待っていることがご理解いただけるかと思う。

 いま財界はしきりにTPP参加を要望しており、マスゴミ(もちろんマスコミが正しいのだが、医療ミス報道などで医師に対してあまりにも偏見に満ちた糞な報道をするのでわれわれ医者の敵、という意味をこめてあえてこう呼称する)と一体となって、「平成の開国」 「バスに乗り遅れるな!」などといって推進している。

 開国?わが国は貿易の分野では世界でもっとも開かれた国であることをご存じないらしい。バス?行き先もよくわからんバスにのる馬鹿がいるのかね?

 だいたい金亡者のこの連中が嬉々として推進する、というのは、われわれ国民にとってはよくない結果をもたらすと考えていたら間違いない。

 その理由が、これらの本を読むことでお分かりいただけよう。TPPと医療の話に入る前に、総論的なTPPを批判する意見をご紹介しておく。
>三橋貴明氏のブログから

デフレがますます進むだけだ【京都大助教・元経済産業省課長補佐中野剛志さん】

 TPPへの参加など論外です。今でも日本の平均関税率は欧米よりも韓国よりも低い。日本はすでに十分、開国しています。
 そもそも「海外に打って出れば、日本製品の競争力が高まる」というのは、考え方が古い。「安ければいい」という途上国市場でいくら製品を売っても、開発力はつきません。
 日本製品に競争力があったのは、消費者の要求水準が極めて高い国内市場で鍛えられたからです。「神様」までいるトイレで、便座がお尻を洗ってくれることを求めるうるさい消費者を相手にしてきたから、日本企業は強くなった。ところがデフレが進み、安さばかりが求められるようになって、国内の「目利き」の消費者が減ってしまった。企業は研究開発を怠るようになり、「iPad(アイパッド)」のような魅力的な商品を作れなくなった。
 輸出といっても、一体どの国に売るのか。米国は失業率10%という大不況。中国の景気は明らかにバブルで、頼るのは危険です。他のアジア諸国は外需依存で国内市場が小さすぎる。そんな中で、輸出を増やすには、製品価格を下げるため、さらに賃金を下げなくてはいけない。
 それで輸出が増えても、今度は貿易黒字で円高になる。輸出主導で経済成長という道に未来はなく、国民を苦しませるだけです。日本は2002年から06年にかけて輸出主導で景気が回復しましたが、それは米国の住宅バブルのおかげ。しかも1人あたり給料は下がりました。利益は株主と企業に回り、一般国民にはまさに「実感なき景気回復」でした。欧米でも同じ現象が起きています。
 「自由貿易が経済を成長させる」という教条主義にとらわれるのはやめて、現実をみて欲しいのです。
 日本は10年以上、デフレに悩んできました。そこからの脱却が最優先課題です。私がTPPに反対する最大の理由は、いま以上に貿易自由化を進め関税を引き下げると、外国の安い製品が入り、デフレがさらに進んでしまうからです。農業が打撃を受けるからだけではありません。
 TPP交渉に参加する9ヶ国と日本の国内総生産(GDP)を合計すると、日米両国で9割を占めます。TPPは実質的に日米自由貿易協定です。米国は輸出拡大を目指してドル安を誘導しているのに加え、米国自身もデフレに落ち込みそうです。そんな国との貿易をさらに自由化すれば、デフレの日本がさらにデフレを輸入するようなものです。(後略)』
 
 戸堂氏の主張は、まさに「インフレ対策」だなあ、というのが感想です。すなわち、生産性を高めることが良いことだ、というわけです。
 生産性とは「「労働者一人当たりの付加価値」です。生産性を向上すると、供給能力が高まり、今の日本ではデフレが悪化します。
 また、労働者一人当たりの付加価値が高まるわけですから、「労働者の数」がそれまでよりも少なくて済むわけなので、当然の話として失業率は増加します。

 現在の日本に必要なのは、デフレ対策であって、インフレ対策ではありません。わたくしにしても、日本がインフレすなわち供給不足に悩んでいるのであれば、戸堂氏の主張に反対しません。といいますか、むしろ積極的に賛成します。

 国内の国営企業の低生産性により、供給不足からくる高インフレに悩んでいたブラジルは、外資を積極的に導入し(まさに開国!)、国営企業を民営化し、生産性を高めることでインフレ率を引き下げました。すなわち、80年代のブラジルのような供給不足に悩んでいる国にとっては、戸堂氏のソリューションは適しているわけです。

 でも、今の日本は違うでしょう、という話です。

 日本でグローバル市場に対応している企業の生産性が高いのは当たり前です。何しろ、07年までのアメリカの不動産バブルにより、当時は世界的な需要拡大局面でした。そんな中においても、日本は政府の誤った政策により需要が伸びず、国内市場を相手にするよりも、海外市場を相手にしたほうが、それは収益性が高まるでしょう。

 しかし、すでにその局面は終わりました、という話です。

 少なくとも2002年以降の「グローバリズム」は、「アメリカの家計が負債を年間百兆円単位で増やす」ことが前提で成り立っていました、これほどまでに負債を増やし、投資や消費に回してくれる別の「需要項目」が登場しない限り、少なくとも02年から06年の状況は戻ってきません。

 そもそも、日本は02年の不況期に「デフレ期にインフレ対策を実施する」愚行を改め、国内需要の拡大に舵を切らなければならなかったのです。ところが、アメリカの不動産バブルを前提とした「グローバル市場の拡大」という「特需」を受け、そこそこの成長率を取り戻してしまう。結果的に、日本の舵を切るタイミングは、またもや失われてしまいました。

 リーマンショック直後に成立した麻生政権は、まさしくこの「舵を切る」にチャレンジしたわけですが、結果的にどのようになったかはご存知の通りです。

 というわけで、戸堂氏の主張を踏まえた本日の締め。

「TPPはインフレ対策です。デフレ期にはデフレ対策が必要です」

TPPはインフレ対策です|三橋貴明オフィシャルブログ

 同じく三橋貴明氏のブログから、

 さて、藤井氏のご同僚でいらっしゃいます、おなじみの中野剛志様(京都大学助教)より、タイムリーなTPPに関するご投稿を頂きました。

『TPPで輸出は増えない 中野剛志(京都大学助教)

 貿易の関税撤廃などを目指すTPPへの早期参加を求める声が高まっている。だが参加国を見渡しても、日本と利害面で連携できそうな国は見あたらない。対米輸出で重要なのは為替であり、関税撤廃で農作物の輸入が増えるだけだ。そもそも外交上弱い立場にある日本に、有利なルール作りなど期待できない。

 10月初頭から先日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)にかけて、環大平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加の是非を巡る議論が、突如として国内で沸騰した。TPP協定は、物品貿易は原則、全品目について即時または段階的関税撤廃をめざすという急進的なものであり、また人の移動なども含む包括的な枠組みだ。

 このような大問題についての結論を、なぜこれほど急ぐ必要があるのだろうか。TPP推進派の主張によると、協定交渉|こ早く参カロした方が、 日本|こ有利なルール作りが可能になるからだという。参加の決断が遅れれば、不利なルールでも飲まざるを得なくなるという。しかし、現在のTPP交渉への参加国の顔ぶれと現下の情勢を客観的にみる限り、日本が自国に有利なルール作りを誘導できるとは到底思えない。

 第1に、現在のTPP協定交渉参加国の中に日本と連携してくれそうな国がない。米国以外の参加国は、外需依存度が極めて高い「小国」ばかりだ。また、いずれも1次産品輸出国であり、低賃金の労働力を武器にする発展途上国も多い。
 米国だけが国内市場の大きい「大国」であり、それを武器に参加国を主導できる立場にある一方、農産品については国際競争力を持つという強いポジションにある。
 その中で日本だけが工業製品輸出国だ。さらに国内市場の大きい先進国として、他の参加国から労働力や農産品の輸入を期待されている。しかし、デフレのため低賃金の外国人労働者を受け入れるメリットがなく、農業はぜい弱だ。日本の置かれた状況は、TPP交渉に参加している国々とは際立って異なる。国際ルールの策定の場では、自国と同様の利害や国内事情を有する国と連携しなければ、交渉を有利に進められない。ところが、日本と同じような利害や国内事情を有する国はなく、連携できそうな相手は見あたらないのである。

 第2に、TPPによって日本が輸出の拡大で成長できる仕組みができると考えるのは甘すぎる。なぜなら、米国は慢性的な経常収支赤字が持続不可能であるとの認識の下で、対外不均衡を是正すべく、5年間で輸出を2倍にすると宣言し、輸出の拡大を進めようとしているからだ。対外不均衡の是正と、米国内の関税を引き下げるTPPの推進とは、一見矛盾するようにみえる。しかし、米国の貿易政策にとって重要なのは、もはや関税ではなく為替レートなのだ。だから米国は、建前はともかく、本音ではドル安を志向する。また、不況の長期化が見込まれる中で、米国の金融緩和は継続するだろうからドル安は当面続くと考えてよい。

 ドル安は、日本企業の競争力を奪うか、米国での現地生産比率を向上させる強力な手段だ。例えば、ホンダの昨年の米国での現地生産比率は80%を超えている。日本の輸出産業は、為替リスクの回避のためにすでに海外生産比率を高めている。ドル安が続く限り、この傾向はさらに進むだろう。米国での現地生産が進むのであれば、仮に日本がTPPに参加し、米国に関税を全廃してもらったとしても、もはや関税撤廃と輸出競争力の強化とは何の関係もない。TPP参加で輸出が増加するなどという試算は、取らぬたぬきの皮算用で終わるのだ。

 一方で、ドル安でさらに安価になった輸入農作物は、関税の防波堤を失った日本の農業に壊滅的な打撃を与えるのは間違いない。製造業なら海外生産によって為替リスクも関税も回避して生き残れるが、農業はそうはいかない。仮に将来、米国が貿易黒字を計上してドルが高くなったとしても、いったん失われた日本の農業を関税なしで復活させることなど不可能であり、食料の米国依存がさらに深まるのは確実だ。

 要するに、日本をTPPに誘い込んだ上で、ドル安を誘導することによって、日本に輸出の恩恵を与えず、国内の雇用も失わずして、日本の農産品市場を一方的に収奪することができる。これが米国の経済戦略なのである。

 第3に、日本は現在、対中・対口で安全保障上の問題を抱えており、普天間基地問題でこじれた米国と関係を改善しなければならない。そんな弱い立場にある日本に、米国に妥協せずに自国に有利なTPPのルールを策定できる力があるわけがない。そもそもTPP協定の問題がこの時期に突然浮上したのは、尖閣や北方領上の問題のために、頼みの米国に妥協せざるを得なくなったからではないか。日本を守ってもらう見返りに、農業市場を差し出そうということだ。前原誠司外相がTPPに最も熱心だったのもそのためかもしれない。

 米国依存の外交姿勢がTPP交渉への早期参加の動機の背景にあるのだとしたら、日本に有利なルール作りなどできるはずがない。そうだとしたら「早期に参加すれば、ルールはそれだけ有利になる」という論法は、相当悪質な詭弁(きべん)である。』

 中野氏の論説の通り、今回の「降ってわいたような」TPP交渉の裏には、アメリカの「輸出拡大」を目指す戦略が間違いなくあります。
 アメリカが輸出依存、経常収支黒字路線を志向すると書くと、頻繁に、
「アメリカが何を輸出するって言うんだよ」
 と言われますが、アメリカは資源、食糧などの国家の基盤となる製品に関しては、各段の競争力を保持しています。

 わたくしは日本の農産業の潜在能力を信じていますし、国家のグランドデザイン上の「将来の輸出産業」と位置付けていますが、それはあくまで現在の農業の問題(=兼業農家、小規模農家の問題)が解決された後の話になります。現時点で関税を全廃してしまった場合、アメリカ産農産物に席巻される可能性は決して低くないでしょう。

 また、輸出製造業については、関税が撤廃されたところでほとんど影響はないでしょう。中野氏の書かれた通り、日本企業の現地生産は進んでいますし、為替レートの影響が関税の影響を上回ってしまいます。
 外国人労働者云々については、それ以前の問題です。国内の失業者を吸収できず、若者の給与水準が高まらない問題を抱えている状況で、何ゆえに雇用の市場競争を悪化させなければならないのでしょうか。

 結局のところ、今回のTPPを推進している方々も、それぞれの「ドミナントストーリー」に支配されているように思えます。
「日本の内需は弱い。日本は輸出依存国。少子化の日本は外国人を入れなければならない」
 などなど、「日本は衰退する」というドミナントストーリーが揺らがないからこそ、今回のような「アメリカのため」としか思えない戦略を有り難がってしまうわけです。

「日本の内需は大きい。弱いのは、単にデフレ下で緊縮財政をしているから」
「日本の輸出依存度は、アメリカ、ブラジルの次に低い。高々、GDPの10%強程度」
「少子化はデフレの結果であって、少子化のせいでデフレになっているわけでも成長率が低いわけでもない。デフレを脱却し、成長率が戻れば、人口はまた増えていく」

 というオルタナティブ(代替する)ストーリー(※藤井氏)がきちんと共有され、「日本の国益のための」TPPを志向するのであれば、まだしも反対しなわけでございますが。

ドミナントストーリー(優先される物語)|三橋貴明オフィシャルブログ

 極論すれば、日米で参加国のGDPの9割を占めることになる(日本が参加した場合)TPPとは要するに日米の二国間協定であり、内容は突き詰めていうならば、日本の邪魔な規制や障壁をとっぱらわせて、どうしたら米国にとって日本から金を収奪できるか規則を決めましょう、というのがTPPの趣旨なのである。

 中国や南北朝鮮がなぜ参加しないのかよくお考えいただきたい。これらの国には国益を守る、という確固たる国家戦略があるから、このようないかがわしい枠組みには参加しないのである。古来君子危うきに近づかず、という。

 さて、総論としてのTPP参加がはらむ危うさ、いかがわしさはご理解いただけたかと思う。これからは、各論として、いよいよ医療とTPPについて考えていく。

 やっと本題に入ることができるようである。お待たせして恐縮である。

 わが国の医療の分野において米国にとって邪魔な規制、障壁というのは一体なんであろうか?それは、正にわが国が世界に冠たると誇る国民皆保険制度であり、時には患者さんのために心身をなげうって治療にあたる勤勉な日本人医師看護師、そして優秀なコメデイカルなのである。

 この難敵である邪魔者をどうやって除去して自分たちがやりやすいような環境を作ってゆくかを連中は日夜考えている、ということなのである。

 皆さんは、TPPについては、農業に影響があって安い農産物がはいってくることで日本の農業が低迷し、壊滅するのでは?食料自給率が下がって、飢饉などのときは食料を売ってくれないのでは困る、程度の認識の方が多いとおもわれる。これはマスゴミが意図的に問題を矮小化して真実をしらせないためである。(このへんがマスゴミのマスゴミたるゆえんなのであるが、、、)

 実は、WIKIでもあったように、非常に多岐の分野にわたって規制撤廃自由化が俎上にあげられている。
実は、WIKIでもあったように、非常に多岐の分野にわたって規制撤廃自由化が俎上にあげられている。医療もそのひとつなのである。が、ことは人の命に直結する問題だけに影響は深刻である。

 まず、医療とTPPについて、三橋貴明氏のブログから紹介する。
わが国の医療がいかに世界に冠たる優秀なものであるかデータを示して解説している。

 そして、それを体現しているのが、国民皆保険制度であり、現場で支えているのが医師看護師らの献身的な努力であり、これらを根本から破壊して資本の論理で日本の医療を支配しようと米国がたくらんでいると論じている。

最新のデータによりますと、日本の医療制度は「世界最高」です。何しろ、WHO(世界保健機構)が数年ごとに発表する「健康達成度総合評価」において、日本は毎回「トップ」に輝いているのです。

 健康達成度総合評価の評価項目は、
①健康寿命、②健康寿命の地域格差、③患者の自主決定権や、治療への満足度などの達成具合、④地域や人種などによる患者対応の差別の程度、⑤医療費負担の公平、の五つになります。
噛み砕いて書くと、
「人々が長生きし、寿命の地域格差がなく、患者が自ら病院や治療を選択することが可能で、治療への満足度が高く、病院が患者対応に際して差別を行わず、医療費を国民全体で負担しあっている国」
 の健康達成度総合評価が高くなるということになります。

 医療関係者の皆様に対して本当に頭が下がるのは、上記の「健康達成度総合評価」は高コストにより達成されているわけではないという点です。すなわち「金をかけているから、健康達成度総合評価が高い」というわけでは決してないのです。

【図 OECD諸国の医療費対GDP比率(2008) 単位:%】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Iryohi

 上記の通り、世界最高の医療制度を実現している日本の医療費対GDP比率は8.1%と、OECD諸国の中では下から数えたほうがはやいです。また、医療費公的支出対GDP比率が6.6%ですので、日本国民は対GDP比率でわずかに1.5%しか自腹で医療費を負担していないことになります。それにも関わらず、健康達成度総合評価が世界一なのです。

 また、医療費がGDPに占める割合が世界一(対GDP比で16%!)のアメリカは、健康達成度総合評価で世界第15位です。先進諸国の中では、下から数えたほうがはやいか、もしくは最下位になります。

 さらに、OECDの最新データによると、07年時点の日本の医師数は人口千人あたり2.1人です。これは、OECDの平均の3.1人を大きく下回っている数値になります。日本の医療制度の問題は医師、看護師不足であり、制度自体の問題ではないのです。と言いますか、これほど少ないコスト、医師数で「健康達成度総合評価世界一」など、医療関係者の負担の凄まじさに、思わず絶句してしまいます。

 現在、厚生労働省は「安心と希望の医療確保ビジョン」により、医師数の増強を始めていますが、当たり前です。日本の医療の問題は「医師・看護師数が足りない」という話であって、制度自体の問題ではないのです。

 さて、上記が現実であるにも関わらず、「日本の医療制度は破たんしている!」などと意味不明なことを叫び、アメリカ型医療制度を日本に持ち込もうとしている人たち(日本人)がいます。と言いますか、以前からずっといました。

 まさに彼らの主張の流れの中で登場してきたのが、各種の構造改革(混合医療の導入、病院の株式会社化など)であり、TPPというわけでございます。

 さて、アメリカにはウォールマートという、極めて巨大かつ問題のある企業が存在します。ウォルマート・ビジネスの詳細については、それこそ「サムスン栄えて不幸になる韓国経済 (http://www.amazon.co.jp/dp/441303791X/ )」をお読み頂きたいのですが、ウォルマートモデルで最も問題なのは、「不採算店舗」を平気で撤退させてしまうという点だと思います。

 ウォルマートの出店戦略は、競争があまりない地域に大規模店舗を出店し、安値攻勢で競合の商店街を潰し、地域独占を実現するというところに真髄があります。それこそサムスンではないですが、地域における「ガリバー企業」と化し、顧客の選択肢を奪い取ることで利益を最大化するわけです。

 これも問題ですが、さらに問題なのは、ウォルマートは地域独占を実現した挙句、不採算であると判断したら、平気で撤退してしまうのです。結果、地域には「買い物ができない」状況に陥ってしまった、いわゆる「買い物難民」が取り残されることになります。

 TPPで、日本への投資や医療機関の株式会社化が全面解禁されたとしましょう。

 日本各地の医療機関が株式会社化し、そこにアメリカ資本が入ってきたとします。すなわち、アメリカ資本の病院が各地で医療サービスを提供するわけです。

 とはいえ、現実に医療サービスの黒字化は極めて難しいです。結果、アメリカ資本の病院が「不採算」を理由に閉鎖してしまったら、日本の地域の方々はどうなるのでしょうか。買い物難民ならぬ、「医療難民」の誕生というわけです。

 TPPを推進している人たちは、上記の可能性などもきちんと念頭に置いているのでしょうか? 正直、医療サービスについては、アメリカ型の市場原理主義や株主利益主義は全くなじまないと思います。

 と言いますか、日本は現時点で「健康達成度総合評価世界一」なのです。見習うべきは、むしろアメリカの方であり、日本がアメリカの医療サービスを参考にしたり、一部、アメリカ型にする必要などさらさらないと思うわけですが、いかがでしょうか。

医療サービスのウォルマート化|三橋貴明オフィシャルブログ

 次に日本文化厚生農業協同組合連合会・代表理事理事長武藤喜久雄氏のご意見を紹介する。

 TPPでアメリカの医療分野が「何を狙っているのか?」が、理解できます。しかも、アメリカの医療産業の態度について、きちんと「ビジネス」として捉えていらっしゃる部分が、極めて秀逸だと思われる。

どうなるの? 私たちのくらし 【TPP―医療(1)】

【TPP―医療(1)】財界の狙いは医療ビジネス拡大――アメリカ資本の参入で皆保険制度、解体の危険 日本文化厚生農業協同組合連合会・代表理事理事長 武藤喜久雄

TPPと医療を考える場合、問題なのは米国の要求というよりも、すでに日本の財界が規制緩和や効率的な医療制度の名のもとに、株式会社の医療参入などを求めていることである。TPP参加はまさに医療分野を「営利」追求のフィールドにしようという流れを加速させるものだろう。
 しかし、医療とは何か? 営利だけを追求するなら、人口過疎の農村部で医療が成立しないことになる。TPP問題は社会が人々の健康をどう支えていくべきなのか、という人間の安全保障の問題でもある。農村医療に大きな役割を果たしている厚生連病院の意義とともに解説してもらった。

◆日本医師会がTPP反対の見解発表

日本医師会は、昨年の12月1日の定例記者会見で「日本政府のTPP参加検討に対する問題提起――日本医師会の見解」を発表しました。それによりますと、「TPPへの参加によって、日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面もあると懸念される」とし、4つの懸念事項を挙げています。1つは、混合診療の全面解禁です。2つ目は、公的医療保険の安全性の低下です。3つ目は、株式会社の医療機関経営への参入による患者の不利益の拡大です。4つ目は、医師・看護師・患者の国際的な移動によって医師不足・医師偏在に拍車がかかり、地域医療を崩壊させる恐れがあるということです。
 TPPと医療の関係については、具体的な事が不明であり、推測の域をでないので、日本の医療の現状と過去の医療政策の流れの中で捉える以外にないだろうと思います。日本医師会の「見解」に沿って、TPP論議が医療に与える問題を考えてみます。

◆財界が求める混合診療の解禁とは?

まず、混合診療の全面解禁の懸念についてです。この要求は財界から、医療への株式会社参入の目論見と軌を一にして以前から出てきていたものです。すでに2004年には、規制改革・民間開放推進会議が、「第一次答申」(2004年12月24日)で混合診療の解禁と株式会社等の医療経営への参入を求めました。
 株式会社も社会的使命を持って事業を行う側面もありますが、本質的には株主への配当を第一義的に行うという“営利”が目的です。営利企業として日本の医療を見たとき、多くの病院が赤字を余儀なくされていることからも分かるように、低い診療報酬の保険点数で縛られている皆保険制度では魅力がないことになります。
 厚生連病院は、経営改善努力をかなり厳しく行っていますが、それでも医療事業本体の損益(115病院総計)は、平成20年度は147億2800万円の損失、平成21年度は経営改善が進みましたが、2億6100万円の損失です。平成22年度は診療報酬のプラス改定(実質0.19%)もあり55億ほどの黒字になりそうですが、それも医師・看護師などの過重労働を省みない使命感にもとづく働きがあって得たものです。このように経営維持のために四苦八苦しているような日本の医療の現状では、営利企業にとっては魅力がないわけです。
 営利企業にとって魅力ある市場に変えるには、どうしても現在は禁止されている混合診療の全面解禁が必要になります。混合診療の全面解禁というのは、保険診療と自由診療の組み合わせを医療機関の判断で任意に自由にやっても良いということを意味します。100%自己負担の自由診療でもよいし、あるいは基礎的な診療や検査は保険診療で行い、アメニティの良い病室や新技術の医療部分は自費による自由診療という組み合わせもありえます。並定食、特別定食、極上定食というメニューが用意され、並定食は、100%保険診療で行い、窓口での自己負担は3割。特別定食は保険診療と自由診療の組み合わせで、保険診療の部分は3割の自己負担、自由診療の部分は100%自己負担。従って、個人負担は3割プラス自由診療部分の代金。極上定食は、100%自由診療で全額個人負担というものになります。
 医療機関は現在でも100%自由診療は選択することができます(かっての日本医師会長の武見太郎氏は自由診療をやっていました)。しかし自由診療を受けることが出来るのは金持ちだけです。一般の医師は保険医の指定を受けて保険診療を行わないと患者は来ませんので、保険診療で経営を維持することになります。
 営利企業としては100%自由診療では患者を集められませんし、そうかといって公的に価格が決定されている保険診療では旨みがありません。そこで、保険診療と自由診療を任意に組み合わせることが可能になる混合診療の全面解禁を求めることになるのです。患者に合わせて医療の価格を自由に決定できるようになりますので、保険診療よりは利益を上げられます。したがって混合診療全面解禁と株式会社参入はワンセットの要求なのです。
 また、混合診療全面解禁になると、民間の医療保険が売れるようになります。アメリカは以前から民間保険会社の日本参入の解禁を執拗に要求してきました。本稿では立ち入りませんが、それは郵政民営化や共済攻撃ともつながっています。

(写真)日本医師会の中川俊男副会長は昨年12月1日、記者会見を行い、政府による環太平洋連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership)参加検討に向けての問題提起として、日医の見解を明らかにした。(日医HPより)

◆参入は限定的だが公的保険制度の縮小の危険

 現状ではTPPが締結されたとしてもアメリカ資本が大々的に日本の病院経営に乗り出してくることは考えられません。アメリカ資本が流入してくるとすれば、株式会社参入と混合診療の全面解禁が認められ、なおかつ公的医療保険がカバーする範囲が「最小の医療行為」のみになった場合です。「最適の医療」が公的保険でまかなえる状況が維持されていれば、高いお金を出して自由診療または混合診療のアメリカ資本の病院に多くの国民が行くとは思えないからです。日本に参入するとしても富裕層を相手にする医療機関が限定的に出てくる程度でしょう。
 公的保険がカバーする医療の範囲が徐々に狭められた場合には、事情が変わってきます。一定以上の収入のある患者がいざという時に備えて民間の医療保険に加入し、自由診療で受診する流れも、一部に出てくると思われます。
 しかし、アメリカの病院の医師数はベッド対比で日本の7倍くらい、看護師も日本より圧倒的に多い環境で働いていますので、労働条件の悪い日本に来たがらないとも言われています。アメリカと同じだけのスタッフを揃えると、ごく限られた患者しか行けない病院になってしまいます。
 このように総合的に判断して、TPPが締結されても外資が日本の医療に一気に流入してくるとは考えられません。むしろ怖いのは、TPPを口実に、株式会社参入と混合診療全面解禁の糸口を与えるというところではないでしょうか。日本医師会もTPPに反対せざるを得ないのはその理由からです。
 株式会社が医療へ参入することで問題になることとして、日本医師会は、(1)医療の質の低下、(2)不採算部門等からの撤退、(3)公的医療保険範囲の縮小、(4)患者の選別、(5)患者負担の拡大――を挙げています。介護保険が導入されたとき、全国的に展開した某社が、不採算地域からはすぐに撤退した事例からも明白なように、営利企業が医療に参入した場合には、不採算地域、不採算診療科の医療を当然やりません。その地域が必要とする医療を提供することをしませんから、地域医療は守られず、地域住民が安心して暮らしていけなくなります。
 混合診療の全面解禁により、公的保険では「最適の医療」ではなく、「最小必要な医療」のみをカバーする政策の導入を可能にします。そのことで国庫負担の削減なり抑制は可能になりますが、患者負担は拡大します。「命の沙汰も金次第」になりかねません。日本医師会の株式会社参入による5つの懸念は当然の懸念であるといえます。

◆不採算の農村医療を支える厚生連病院

 我々の厚生連病院は、大正・昭和初期から人道主義の立場から農民の生活と健康を守るために無医村地域での診療活動を行った産業組合がルーツです。
 戦後も農協連合会が経営する厚生連病院として、他の医療機関が進出を好まない人口の少ない農山村でこそ地域住民の健康、ひいては生活、農業を守るために医療が必要と考え、歯を食いしばって医療を提供してきた歴史があります。それも待ちの姿勢ではなく、地域に出て、病気の早期発見や健康づくりに取り組んできました。政策医療と言われる不採算診療科も地域が必要とするなら当然維持してきました。
 表1のように厚生連病院は、115病院のうち人口5万人以下のところに48病院が所在しています。人口10万人以下で取りますと72病院、厚生連病院の63%がそこに所在し、地域医療に奮闘しています。経営的にも医療職確保のうえでも不利な地域です。その姿にこそ、組合員・住民の願いに応える協同組合としての厚生連の価値があります。営利企業にはとても期待できない事でしょう。
 民主党政権が、混合診療全面解禁、株式会社参入を政策としていきなり採用していくことは現時点では考えにくいと思います。ましてや東日本大震災で壊滅的な打撃を受け、そこからの復興と社会的救済策が重要な課題になっているときに、混合診療全面解禁による公的医療保険の給付範囲の縮小、患者負担の拡大を打出すことは到底出来ない相談ですし、絶対に許してはなりません。混合診療全面解禁で経営改善しようという錯覚を起こす医療関係者も一部にいるようですが、仮に、株式会社参入と混合診療の全面解禁が実現しても、医療収益を大きく上げることができるのは、限られたブランド病院のみになるでしょう。
 農村の地域医療の現状や震災後の地域再建を踏まえるならば、いま最も大事なことは、公的な医療保障の総枠を縮小せず充実させる政策の実現を政府に迫ることであろうと思います。

◆日本から医師の海外流出の恐れも

 次に、医師・看護師等の人材の流動化問題です。TPP締結で医師・看護師が日本に流入してくるのか、逆に流失していくのかという問題です。
 深刻な医師不足については周知のとおりです。特に、今回の大震災で、元々医師不足の甚だしい東北地方は想像を絶する被害を受け、医師自身も犠牲になりました。病院・診療所の流失も見られます。そのために、さらに医師が不足することになります。それだけに、海外からの医師の流入に期待する声もあるかもしれません。
 結論から言えば、TPPの締結によってアメリカから多くの医師が一気に日本に来ることは想像できません。前に見てきたように、高額な自由診療の広がりがなくして旨みはないからです。質の劣る外国人医師なら来るでしょうが、国民の側が受け入れがたいでしょう。
 むしろ、優秀な日本の医師が海外に流れる恐れは一部ありえます。医師の外国への流失で医療崩壊に拍車がかかった事例があります。1979年に首相になったサッチャー政権時代のイギリスです。小さな政府をかかげるサッチャーは医療費抑制策を行い、病院の閉鎖、医師の海外への流失が起きました。その結果、入院待ち120万人という状況に陥りました。一旦崩壊させたハードや人材の育成には多くの時間がかかります。崩壊させるのは一瞬、再建は長期間というものです。ブレア政権になって医療費を大幅に上げる政策を実行しましたが、簡単には立ち直れない状況が続きました。2003年当時イギリスに行かれた李啓充・元ハーバード大学教授から直接伺った話では、何とガンの手術待ち6ヶ月とのことでした。日本は英語圏でないので、TPP締結で日本の優秀な医師が大量に海外流出することにはならないとは思います。しかし医師の海外流失を招いたイギリスの政策失敗の教訓はしっかりと押さえておく必要があるでしょう。
 アジア諸国からの看護師や介護福祉士の受入も多くの課題があります。現在インドネシア、フイリピンとのEPAによって看護師・介護福祉士の候補者の受入をしています。しかし国家試験の漢字が読めないなど言語が壁になってなかなか合格しません。今回の看護師資格試験では、難解な漢字にはフリガナをつけ疾病名に英語併記するなどしたのでインドネシア15人、フイリピン1人が合格しましたが、合格率はたったの4%です。TPPによってこの国家試験がどのように変わるか分かりませんが、言葉の壁は、医療職間の連携の上でも、患者との意思疎通でもマイナス面として出てきます。ともかく、現在すでにEPAで人材交流をしていますので、あえてTPPを結び看護師・介護福祉士の受入を行う必要はないのではないでしょうか。

◆深刻な医師不足の解決の道は?

 医師不足の現状をまとめておきます。表2のように、日本の医師数は人口1000人当り2.1人、上から27番目です(2007年)。OECDの平均は3.1人です。1960年は人口10万人当たり医師数100人でしたが、2008年は213人です。ちなみに、OECDは平均110人から310人へと3倍近くに増やしていますので、日本は決して胸を張れる状態ではないのです。
 その上、日本の医師数は届出医師数でカウントしているので、年齢に関係なく医師免許を持った数です。第一線でアクティブに働く医師数ではなく、すでに引退した医師も含まれます。届出医師数28万6699人のうち、実際に病院や診療所で働く医師数は27万1897人です(厚労省発表、2008年12月31日)。さらに年齢構成を見ると、70歳以上の医師が27、087人で約10%を占めています。
 医師不足が起きているのは、昔のように、総合的に患者を診る医師が減り、医学の進歩の中で専門が細分化され、深くても狭い範囲しか診られない医師が増えたため、医師数が必要になっているからです。例えば、内科ひとつをとっても消化器科内科、循環器科内科、呼吸器科内科、アレルギー内科、内分泌内科、心療内科などに分かれます。このように細分化されていては、一人の人間の体を全体的に診ることはできません。クリニックなどプライマリケアを担う医療機関では総合的に全体を診られる医師の養成が課題になってきています。
 女性医師が働きやすい環境整備が遅れていることも問題です。結婚、出産、子育てから現場復帰にあたっての再教育体制が不十分で、家庭に戻った女性医師を再び活かしきれていません。医師全体に占める女性医師の割合は、29歳以下36.1%、30歳から39歳では26.5%(2008年12月31日)で、前年対比の医師増加率も男性の2%増に対して、女性は8.6%増です。
 医師不足で深刻なのは、病院勤務医です。外科系医師などは、36時間連続勤務が存在すると言われています。勤務医の過重労働、患者からのクレームや医療訴訟というリスク、その割に報酬が低いこともあって立ち去り型サボタージュと言われる開業医への転換が勤務医不足に拍車をかけています。特に、農山村地域の病院勤務医が不足しています。農山村での勤務は、子供の教育、奥さんの反対、医師としての成長問題等がからみ赴任したがりません。
 また、臨床研修の義務化が地域偏在を助長させています。かっては大学教授の命令で農山村の病院にも赴任したものです。ところが臨床研修医制度によって、学生の意思で研修病院を選定できるようになりました。その結果、大学で研修医として残るのは50%弱になりました。そのために、研修医ゼロの医局も出るなど大学医局が抱える医師数は大きく減少し、派遣先を絞り医師を大学に引き上げざるを得なくなってきたのです。
 医師不足については厚生連病院も大きな影響を受けています。医療法で決められている医師の標準人員基準から見て、充足できていない病院が依然として存在しています(表3)。また、表4のように診療科を停止したり診療の制限をしたりせざるを得ない状況が続いています。しかもこの標準人員基準自体が古く、高機能の病院では、標準人員基準の倍の医師が必要とされています。
 医師不足の解決には、医師養成数自体の拡大、総合的な診療医の養成、女性医師の労働環境整備、病院勤務医の負担軽減、臨床研修医制度の改善等の総合的な取組みが必要です。TPP締結による人材の流入に期待することでは、医師不足は解決できません。

◆国民皆保険制度の解体への呼び水―TPP

 医療に及ぼすTPPの影響についてストレートに関係づけて論じることは現時点では困難といえます。しかしTPPによって株式会社参入、混合診療の全面解禁、皆保険制度の弱体化の呼び水になることは確かであり、日本医師会のTPPに対する懸念に正当性があると思います。
 いまやるべきことは、危機的状況にある日本の医療を競争原理の只中に放り込むことではありません。混合診療の全面解禁、外資の医療経営参入や外国人医師等の受入など、TPPの枠組みで想定される政策を進めていけば、国民皆保険制度は解体の危機に陥ります。大震災で大きな打撃を受けた農業と暮らしの再興を支えるためにも、農山漁村地域の医療を守り抜くことが必要です。農村医療・地域医療を守る視点から、多くの人々とともに医療関係者がTPP参加反対の運動を広げていくことが求められています。

【TPP―医療(1)】財界の狙いは医療ビジネス拡大 〜 JAcom 農業協同組合新聞

 TTPがわが国の医療に与える影響について懇切丁寧に解説されていると思う。
日本医師会もこれらのことがわかっているからこそ、先の反対意見表明にいたったわけである。

 ここでちょっと注意しておかなければならないことがある。それは、
「TPP交渉参加は、TPP参加とイコールとして考えなければならない」ということである。

 TPP推進派は、「交渉参加と参加は違うでしょう。交渉にも参加しないというのは、おかしいよ」という論法で攻めてくるのですが、騙されてはいけない。

三橋貴明氏のブログから引用する。

『TPP「交渉入りと参加は違う」 枝野経産相

枝野幸男経済産業相は24日午前のBS朝日の番組で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加について「交渉に参加することと、TPPに参加することは別なんだと、多くの人に理解してもらう。まず閣内で共有したい」との考えを示した。
 経産相は23日に訪問先のシンガポールで、TPP構想の「生みの親」とされるゴー・チョクトン前首相と会談し、「いったん交渉に参加したうえで、離脱する手もある」と説明を受けた。経産相は番組で「前首相に『交渉に参加したうえでどうしても譲れないことがあれば抜ければいい』と明確に言ってもらったことは大きい」と語った。
 11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに交渉参加を決断するかどうかについては「国際的には一つのターゲット。一方で期限を切って合意形成の努力をするのはマイナス」と述べ、明言を避けた。

 というわけで、以下、中野剛志氏のご投稿です。

『--------TPP 交渉参加すべきでない理由----------(京都大学 准教授 中野剛志

1.交渉からの途中離脱は現実的には困難
 ・最終合意が我が方に不利になっても、対米関係を考えれば離脱できない。対米関係悪化のリスクは、交渉参加見送りよりも交渉参加後の離脱の方がはるかに高い
 ・我が国の離脱は他の参加国からも強い反発を招く。
 ・途中離脱が困難な交渉は、どんな不利なルールでの飲まざるを得ないものとなる。

2.TPPは、交渉参加に当たり相当な約束を求められる
 ・全ての品目を関税撤廃の対象とする旨表明する必要がある。除外などの条件をつけての参加表明が認められる見込みはない

3.国民への説明責任が不十分
 ・不利なら離脱するというのであれば、TPPの交渉結果がどうなった場合は不利と認定して交渉から離脱するのか、離脱の一線・条件を明示し、かつそれに関して、国民に十分な説明責任を果たしたをした上で、コンセンサスをとるべき。(これは、交渉参加していないから情報がとれないので説明責任を果たせないという言い訳はできないはず)。
 しかしTPPは関税の品目だけでも多数ある上、24も部会(分野)があり、交渉結果のパターンは数多くある。また、業界やイデオロギーによって、「有利/不利」の定義は異なる(コメ農家にとってはコメの関税撤廃は「不利」だが、原理主義的な自由貿易論者にとっては「有利」)
 それなのに、国民的議論をまったくしていない。

4.交渉参加の検討に際しては、開国フォーラムなどで説明責任を果たし、国民の理解を得ることが前提であったはず。
 しかし、開国フォーラムは、震災以降、中断したまま、開かれておらず、国民的な議論が行われているとは言い難い。
 特に、農家の多い被災地に対しては、政府の説明も理解を得る努力もしていない。

5.交渉参加の検討に際しては、農業再生が前提であったはず。しかし、震災によって、農業再生以前に、復興が先決になっており、交渉参加の検討の前提が崩れている。

6.交渉参加というシグナルだけで、将来に不安を感じた被災地の農家は、将来への先行き不安から、復興への気力を失う。(現に、口蹄疫から立ち直ろうとしていた宮崎の畜産農家は、TPP参加問題を聞いて、将来への先行き不安から畜産再生を断念したケースもある)
 従って、TPP交渉参加は、復興最優先とした野田内閣の方針に反する。』

 個人的に重要だと思うのは、やはり3だと思います。
 国民にTPPの内容、現在の条件、妥協点、目標条件などをきちんと示し、
「というわけで、交渉に参加してくるよ」
 というのであれば、「頑張れ」といいたくなりますが、政府は前政権を含めて説明責任を全く果たしていません。

「自由貿易だから参加するんですよ! 自由ですよ!」 
 では、まさしく単なるイデオロギーで、政策でも何でもありません。

 例えば、枝野経済産業大臣は、上記の記事のように、
「前首相に『交渉に参加したうえでどうしても譲れないことがあれば抜ければいい』と明確に言ってもらったことは大きい」
 と発言するのであれば、「日本にとってどうしても譲れないこと」が何かを明示する必要があります。ところが、そもそもTPPの内容が周知されていないわけですから、「日本にとって譲れないこと」が何なのか、国民は判断しようがありません。

 まあ、TPPの中身について知られるのがいやだからこそ、「いざとなれば、抜けられるよ」という情報を広め、交渉参加を既成事実化したいのでしょうが。

 何と言いますか、TPPや増税推進、それに人権侵害救済法、外国人参政権など、中身をきちんと説明せずに、マスコミを利用して既成事実化しようとするところが、本当に民主党政権は中韓両国にそっくりで、ほとほと嫌になります。

 いずれにせよ、TPP「交渉入りと参加は(事実上)同じ」なのですよ、枝野経済産業大臣。

三橋貴明の三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」〜TPP「交渉入りと参加は同じ」です。

 最後に浜田和幸氏の『恐るべきTPPの正体』角川マーケティング(角川グループパブリッシング)から引用する。

 これはまだ公開されていないTPPの内容を、米国参加前の既存TPPや二国間のFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)、2008年までに公開されていた年次改革要望書などから分析したものである。(年次改革要望書は2009年からは公開されず、日米経済調和対話という密室で進められている)。

 TPPの問題は24作業部会のうち、実はマスコミの注目を浴びる輸出製造業と農業以外にこそあります。スポットライトが当たるのは輸出企業の利益ために農業を犠牲にせよという議論ですが、この輸出用の消費財とてアメリカのドル安政策によって絵に描いたもちとなります。まず農業について述べます。米は現在778%の高関税で守られて96%の自給率ですが、アメリカがカリフォルニア州などで日本向けの日本品種を作っており、利害対立がある場合は関税撤廃の対象外にならず、関税は段階的に撤廃されます。日本の米農家がアメリカ並みに規模拡大する事は出来ないため遅くとも10年後には90%近くまでアメリカ産に置き換わるでしょう。他の高関税品目もアメリカ・オーストラリア・ニュージーランド産に置き換わり、現状の自給率40%から大幅に下落するでしょう。特に穀物自給率は現状でも27%であり、これが大幅に下がれば、異常気象による食糧減産などで日本向けの輸出が止まる可能性が高く、また食糧を戦略物資と考えるアメリカは、日米が対立すれば穀物輸出を止めるでしょう。ちなみにアメリカの農業は補助金漬けのために安く輸出でき、日本の農業は補助金ではなく関税で流入にブレーキをかけているために農産物が高くなるわけです。さて日本の野菜の自給率は現在80%程ですが、これはアメリカのモンサントを始めとする種子会社から種子を買う事で成り立っているものです。種子会社のF1品種の野菜は、二代目(F2)からは生産性が低下し、F3、F4はさらに落ちていくためF1種子を買い続けるしかないわけです。

 24作業部会の一つSPS(衛生植物検疫措置)では食品添加物、残留農薬、ポストハーベスト(収穫後殺虫・防カビ剤)、遺伝子組み換え食品、狂牛病(BSE)が問題となります。日本は国際基準より厳しいSPSを導入してきましたが、これを非関税障壁と見なして緩和を求めています。2003年12月から禁輸されていたアメリカ産牛肉は、2005年から月齢20ヶ月以下・危険部位除去を条件に輸入を認めていますが、TPP参加後は無条件で流入する可能性があります。

 遺伝子組み換え作物の問題はある意味もっと深刻です。日本には遺伝子組み換え作物がすでに大量に輸入されていますが、作る事は規制しています。しかしTPP参加によってこれも緩和されるようです。アメリカのモンサントを始めとする種子会社は、強力な除草剤とセットでそれに耐える遺伝子組み換え作物の種子を売っており、買った種子も遺伝子操作によって一代限りしか育たない(F1品種)ため、これに手を出してしまうと種子会社から高額で買い続ける事になります。日本のどこかで組み換え作物が作られると、在来種と受粉交雑したり、その後在来種が除草剤によって淘汰されたりして、ある日突然種子会社から故意・過失に関係なく特許違反で訴えられる事になります。さらに除草剤は深刻な健康被害をもたらす事も知られています。

 24作業部会のうち5つはサービスであり、その一つは医療です。日本の医療法人の目的は医療の提供であって収益拡大が目的ではないわけですが、アメリカが参入を求めるような株式会社は収益を上げなければ株主に対する義務違反に当り、株主代表訴訟で賠償させられる事になります。コストに見合わない診療科や地域医療からの撤退が相次ぐでしょう。また収益最大化のためには公的保険でカバーされない自由診療(全額自己負担)が増やされ、公的保険による診療のみ行う病院は立ち行かなくなるでしょう。さらにアメリカ政府は混合診療解禁も求めており、これは公的保険給付の範囲を狭める事になります。

 自由診療が拡大すれば高額な自由診療分のリスクヘッジとして民間保険への需要が高まり、自由診療対象の保険に長じたアメリカの保険会社が莫大な利益を上げるでしょう。ちなみに、小泉構造改革の郵政民営化はアメリカ保険業界が求めた日本の簡易保険つぶしでした。株式会社参入と混合診療によって国民皆保険制度は崩壊に向う事になり、アメリカの保険会社の利益はさらに上がるわけです。またアメリカ政府は、日本の共済にも民間保険会社と同様の義務を適用して同等に扱う事を求めています。共済に保険会社と同じように積立金の義務を負わせると潰れる可能性が高く、これもアメリカ保険業界に有利に働きます。

 TPP参加によって他の参加国から来た看護師・介護士・医師がサービス提供する事を認める事になり、資格の相互承認が求められると日本語が参入障壁だと見なされ、英語ができれば日本で働けるようになる可能性もあります。また訴訟大国アメリカは、外国法事務弁護士の日本国内での法人設立や、外国の法律事務所が日本に複数の支店を置く事を求め、TPPの資格相互乗り入れによってアメリカの弁護士が自由に日本に乗り入れる可能性も出てきます。そして日本の会計制度はアメリカの圧力で簿価会計から時価会計になり、公認会計士も資格相互乗り入れしやすくなりました。

 教育もサービスです。構造改革特区において株式会社立の学校がすでに認められており、TPP参加によって外資の株式会社立の学校が 誕生する可能性が出ています。またサービス(電気通信)では外資のテレビ局が誕生する可能性もあります。

 TPPにおいては参加国に最恵国待遇・内国民待遇を与え、あらゆるビジネスチャンスを開放しなければなりません。投資の作業部会ては土地の買収の自由化が懸念されます。中国は慢性的水不足であり、中国資本が日本の水源林を買収している事は知られています。中国はTPP参加国ではありませんが、参加国の中で華僑の多いマレーシア・シンガポール・アメリカでダミー会社を設立すれば、中国資本が日本の水源林を制限なく買う事ができ、日本の水資源は支配されるでしょう。農地はアメリカのアグリビジネスが支配し、出来た作物や加工品を日本国内に流通させるかどうかはアメリカ政府の意向次第です。また外資の農園株式会社で作られる作物は遺伝子組み換えであり、花粉の飛散によって日本人の小規模農家の作物と交雑する危険もあります。さらに企業のM&Aも投資であり、分割民営化された郵政事業のうち、ゆうちょ銀行・かんぽ生命は買収される恐れがあります。買収によって国内金融機関の経営陣が外国人に変われば、株主への配当を増やすため金利の安い日本国債を売り(日本国民からの借金が外国からの借金に替わり、これが進むと景気回復によって財政再建するまで借り換えするという方法が採れなくなる)、ハイリスクな証券化商品を買うでしょう(欧州の銀行のように破綻リスクが高まる)。国債の95%が国内金融機関によって保有されている事が、国債発行による公共投資を行うための有利な条件として作用してきましたが、もはや不可能となります。

『恐るべきTPPの正体』 浜田 和幸 (著) 角川マーケティンク

 続きは是非著作を買ってお読みいただきたいが、特に医療に関する部分を読むと冷や汗がでてくるくらい、このTTPが日本解体につ ながるヤバイものであることがおわかりいただけるだろう。

ここで最近出てきた、米国の本音、をウイキリークスが明らかにしてくれた。

ウィキリークス 米国公電「TPPで日本と韓国を潰せる」

ニュージーランド外交貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は
「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。
もし、当初のTPP交渉8カ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、
日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それが長期的な目標だ」と語った。(米国大使館公電から)
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でニュージーランドと米国は、
農地への投資制度や食品の安全性などの規制や基準を統一した「絶対標準」を定め、
受け入れ国を広げることで経済自由化を進めようとしている――。
TPP交渉を主導する両国のこうした狙いが、在ニュージーランド米国大使館の秘密公電に記載されていた
両国政府の交渉当局者の会話から浮かび上がった。ニュージーランドの交渉当局者は「絶対標準」
を受け入れさせる国として日本と韓国を名指ししている。
これは国内の規制や基準の緩和・撤廃につながり農業だけでなく国民生活の多くに影響を与える可能性がある。
公電は、内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が公表。
ニュージーランドの当局者らへの取材と合わせて分析した結果を報告する。

『TPPで日本を押し潰すことができる』 ~ウィキリークスがアメリカの外交文書を暴露~

 どうだろうか?米国の本音が見事にでていることに戦慄を覚える。マスゴミはこういった事実を一切伝えようとはしない。この辺が、マスゴミのマスゴミたるゆえんなのて

 さて、11月までに結論を、となぜTTP推進派があせるのだろうか?

 それはAPECが11月にオバマ大統領の故郷ハワイで開かれることと関係がある。最近のオバマ氏は支持率低下でぱっとしない。このままでは来年の大統領選挙での大統領再選が危うい状況にある。TPPは要するに米国の雇用を増加させる方便なのであり、ここで、日本に、野田総理にTTP交渉参加表明をさせて、ひきずりこんで一発逆転を狙おうという構図なのである。「TPP交渉入りと参加は(事実上)同じ」ということをよく米国はわかっている。理解していないのは、日本人だけ、というわけなのだ。

 この原稿を書いているのは10月中旬、原稿が掲載される医風の発行時には結果はわかっているはず。願わくば、野田さんよ、余計なことは言わないでくれ!国論が二分しており、まだ議論の最中なので、交渉に参加するかどうかについては白紙です、オバマさんに
正直に言っておいてくれ!頼むよ!泥鰌は泥鰌らしく泥の中に引っ込んでいてくれ!!

 さて、そろそろ本稿も終りに近づいた。そろそろわたしたちの国、日本、そして私たちの国民医療について、その未来への展望を考えてみたい。

 これらのTTPの記事からみえてくるのは、先述したように、日本の市場、なかでも医療市場に参入したい米国があの手この手で有利なように環境整備を仕掛けている構図である。そこには医の倫理のかけらもない、医療を食い物にする禿鷹=資本の論理があるだけである。

 ヒラリー国務長官が以前米国の医療保険改革を目論んでいた頃、わが国の医療事情視察のために来日したことがあった。で、得た結論は、「日本の国民医療は医師ナースの多大な自己犠牲でささえられている。過労死するような労働基準法無視の劣悪な労働環境のもとで、長時間安い給料で働かせる、、とてもこんなことは米国では無理である。」だった。

 そもそも、医者が働きすぎで過労死、などという概念は彼女には到底理解不能であったことであろう。あたりまえのことだが、彼女が目論んだ米国の医療保険改革は多くの方面からの抵抗により失敗に終り、いまでも医療保険に加入していない米国民の数は莫大なままである。(このへんの米国の医療事情については、昨年の小生の投稿記事に書いた、「シッコ」の項目を参照していただきたい。金がなければ救急車にも乗せてもらえないし、現金かクレジットカードがなければ診察もしてもらえない、、これが米国の医療の現実である。TPP参加でわが国も確実にこの後を追うことになる。そうなってからでは遅いのである。)

 主要新聞は、「平成の開国」「バスに乗り遅れるな!」を掛け言葉として、TTP参加を煽っている。しかし、TTP参加は平成の開国ならぬ、平成の壊国売国であり、行き先もわからぬバスに乗り込む馬鹿はいない、ということを大多数の国民はわかっていない。TTPについてほとんどが実態を理解していない。というか、まともな議論がなされていない。ただ単に、TTPに参加しなければ、実国際化グローバル化の波に取り残されるという不安感をかれらマスゴミが煽っているだけなのである。

 TTP参加を推進しようとする民主党財界マスゴミ、、この連中には、「国益」という概念はない。また、日本人のために働くという気持ちもない。また日本国民を幸せにするために尽力するという意思の存在も感じられない。国家そして政治家の使命とは、「国民の生命と財産を守ること」である。この連中にその気概は微塵もない。この連中にあるのは、金をいかに儲けるか、国民の財産をいかにしてかすめとるかという資本の論理だけである。すなわち、「国民の生命を脅かし、財産を掠め取ること」である。その証拠に、国益ということに一番敏感な支邦中共、韓国、北朝鮮はTTPには参加しない。

 民主党そして財界は、ハーメルンの笛吹きよろしく、日本と日本国民を破滅への崖に誘導しようとしているのである。そして、その影には日本を食い物にして、米国の雇用を増やそうとする米国の存在がある。

 さて、これからわれわれはどうすべきなのであろうか?ということについて考えてみよう。

 いまからでも遅くない、日本医師会は既に反対の意見表明をした。いうだけならだれでもできる!これからは行動が求められる。

  まず、周囲の人たちを説得することからはじめよう。キイーワードは、「TPP参加で国民皆保険制度の壊滅」一点で攻める。これが一番わかりやすいし、インパクトがある。まず、わたしたちの患者さんにTPP参加でわが国の医療がどんな悲惨な状況においこまれるのか説得しよう。まずこれが最初の第一歩。

 そして、スタッフや身辺の人物、税理士でも出入りの信金マンでもいい、ひとりでも多くの人たちに真実を知らしめること。これが肝要。これをわたしは地道にやってきている。おりにふれて、院内懇親食事会などでスタッフにわかりやすく説明している。 実際に、数少ないマスゴミの偏向報道に毒されて、TTPに参加したらいいことがあるのではないかとなんとなくおもっていた出入りの信金マンもこれでTTP参加反対派に宗旨替えさせた。みなさんも是非やっていただきたい。

 次は、かつて小泉医療改革反対で、大阪城ホールに一万人が集まったように、声をあげること、そしてマスゴミを引き込むことである。(ああ、この場合は同志として協力願うわけであるから、「マスコミ」と正しく呼ばせてもらおう。)

 特に農業にたずさわっている人たちとは共闘できるはずである。デモ集会にも参加してもらえるだろう。ぜひとも共闘してゆきたいものである。先日もトラクターに乗った農民たちがTPP参加絶対反対をスローガンに掲げて銀座をデモ行進していた。近日中にも、デモが予定されていると聞く。また、先日茨城県医師会と茨城JAがTPP反対で共闘することを発表した。

 また、TTPと医療について、テレビや新聞で議論をすることである。国民にTTPにはこういった恐ろしい問題が内蔵されているのだということを知らしめ、議論に参加してもらうことである。

 誰も見ない早朝にこそこそ番組をスポンサードするのではなく、日本医師会よ!ゴールデンタイムに各界の論客を招いて討論をせよ!わたしたちはそれぐらいの金は医師会費としてはらってきた。

 日本医師会よ!主要新聞に意見広告を載せよ!同じく金は払ってきた。事は急を要する。TTP交渉参加について国民的議論を巻き起こすのだ!真実を知れば国民は必ずTTP交渉参加には反対するはずである。

 先述したように、野田泥鰌総理は、11月のAPECまでに結論を出す、とか世迷言をのたまわっている。国民のほとんどがTTPについて正確な知識をもたない状況で交渉参加を云々できるわけないだろうが!

 これは国家存立の根幹にかかわる重要なことがらである。5年10年かけてでも真剣に議論を積み重ねることが必要だ。拙速だけは避けるべきである。

 今日経済産業省に電話してみた。官僚とおぼしき人物と議論してみたが、やはり平行線であった。しかし、こちらの専門である医療分野とTPPについて話を振ると、突然低姿勢になったのである。「日本医師会は反対を表明した。」「はい、承知しております。」

 「TPP参加は国民皆保険制度の崩壊に直結する!」といったところ、ご意見はもっともである。国民的な議論が必要である。まだ情報の開示が不足しております、という認識を示してくれた。

 で、拙速はだめだよ!というと承知しました、と。なかなかこの官僚氏、話がわかる。ま、こういった地道な?努力も必要かな、と考える次第である。

 最後にもう一度言う、
野田さんよ、ハワイのAPECでは余計なことは言わないでくれ!TTP交渉参加については国論が二分しており、まだ議論の最中である、とオバマさんに正直に言っておいてくれ!頼むよ!

 オバマさんも日本を食い物にして自国の経済を立て直そう、などという不埒な考えを捨てよ!聖書にもあるだろ?天は自ら助くるものを助く、あんたキリスト教信者なんだろう?頼むよ!

 幸いなことに、与党民主党議員190名がTPP参加反対を表明しており、連立与党亀井代表も反対を表明された。微妙に風向きが変わってきているのを感じる。これらの動きを無視して、泥鰌総理もAPECで参加を表明することは難しかろう。(APECでの交渉妥結は事実上困難である、という報道が先日なされた。)

 しかし、たとえAPECでの参加表明がなかったとしても、これから議論をしてゆかねばならないわけで、まだまだ油断はできない。日本を壊滅させるTPP参加を民主党財界の売国奴達に完全に断念させるための戦いは始まったばかりなのである。

 拙稿をお読みいただいて、TTPの持つ危険性を認識された諸兄よ、わたしとともに立ち上がろうではないか!国民皆保険という世界に冠たる、世界で最も優れた医療保険制度を守るために!なによりも日本国民のために!そして私たちの子々孫々の世代が安寧に暮らせる世の中を守るために!