あうと・おぶ・ばうんず


シーズー日記

 以前医風に“ウサギ日記”と題して、我が家のペットうさぎ「みみ」(ホーランドロップイヤー種)を御紹介させていただいた。彼女ももう3 歳になった。順調に成長しており、人間で言えば娘盛りである。相変わらず元気に跳ね回って、私の疲れを癒してくれている。
 昨年、ペットが飼えるマンションに引っ越したのを機会に今度は犬を飼うことにした。ウサギは鳴かないので、犬や猫の飼育が禁止されているマンションで飼うのには最適であると申し上げたが、正式に許可されるのであれば問題はない。いろいろ迷った末、今人気のシーズー犬に決めた。理由はまず、愛嬌のある顔と人なつこい性格、そして無駄吠えが少ないことである。専門家の話によるとシーズー犬やブルドックのように鼻がグチャッとつぶれている犬は、あまり吠えないらしい。反対に、柴犬やミニダックスのように鼻がとんがっているのはよく吠えるとのことである。犬を選ぶ時の参考にしていただきたい。まあ、飼い主のしつけにもよるのだろうが、集合住宅という性格上、あまりぎゃんぎゃん鳴かれるのも困る。
 ここで、シーズー犬について少し講釈してみよう。シーズー犬の祖先はチベット原産といわれている。仏教がチベットに入ってラマ教となったこの国では、古来すぐれた霊力を持つ動物としてライオンを神聖視しており、ライオンに似た犬を品種改良して育てていた。こうして生み出された「ライオン・ドッグ」の一つがシーズー犬の祖先といわれている。チベットから唐の宮廷に貢ぎ物として贈られ、かの清朝末期の女帝西太后も寵愛したという記録が残っている。中国宮廷でまさに門外不出の秘宝として大切に飼育されていたのである。
 1930 年に中国から英国に密かに持ち込まれ、以後全世界にひろまった。この頃の大英帝国はアジアで悪事ばかりはたらいていたのだが、時には良い事も行っていたのである。
 日本には1964 年に輸入されている。中国語で「獅子狗」(ライオンのような犬という意味。発音はシーズークウ)と呼び、これがシーズーの語源となった。シーズー犬がROYAL DOG と呼んでもいいくらい、なかなか由緒正しい犬種であることがおわかりいただけたかと思う。
 さて、市内を巡って、いろいろ探し回った結果、日本橋の老舗のペットショップで生後3 ヶ月の雄の子犬を購入した。名前は、縁あって私が開業の地に選んだ西成区天神の森にちなんでウータンとつけることにした。マレーシア語で「森」という意味である。(ちなみに、「オラン」とはマレーシア語で「人」、皆さん御存知の、「オランウータン」とは、「森の人」という意味である。)
 体重で当時は1 kg 弱、体長20 cm 程度だったのが、半年を過ぎて体重5 kg 、体長50 cm と順調に成長している。餌は市販のドッグフードである。
 家内から、人間の食べ物を与えることは禁止されている。そのあまりのうまさ?にドッグフードを食べなくなるから、というのだが、みつからないようにこっそりとすき焼きの余りをやったりしている。実にうまそうに食べる。飼い主に似て食い意地がはっているようだ。
 6 畳の一部屋を、床を抗菌仕様の防水クロスにして、みみとウータンに提供した。まことに贅沢なペット達である。いまのところウサギと犬は友好的に交流している模様である。
 コロコロしたウサギの糞が、ドッグフードに似ているようで、ウータンが彼女の糞を狙って口にすることがある。(写真参照)おまえには、ROYALDOG としてのプライドがないのかと叱っているが効果はないようだ。
 ときおりパターの練習につきあってくれる。写真のように邪魔をしてくれることのほうが多いので、一向にパターが上手くならないのはあいつのせいなのかも知れない。ちなみに彼はタイトリストproV1 とツアーステージamzといった、ソフトフィーリングのボールがお気に入りのようである。ゴルフも私に似てなかなか上級者志向のようだ。

 雨でない限り、毎朝できるだけ散歩につれていくようにしている。朝靄につつまれての散歩はなかなか気分がよく、私にとってもいい運動になる。早起きが習慣になったので、夜更かしや深酒をすることがなくなった。シーズー犬は健康に良いのである。
 近くの公園ではいろんな犬に出会うがいつも思ってしまう-「えらいブサイクな犬やなあ。やっぱりウータンのほうが可愛いわ。」-まさに親馬鹿そのものである。そのなかで同じシーズー犬の雌、クッキーちゃんと友達になった。会うと鼻をつきあわせ、仲良さそうに尻尾をふって遊んでいる。ウータンにとっては年上の彼女ということになる。(このあたりは私の趣向と異なるが。)
 犬を介して全く知らない人と打ち解けて話ができるのもペットの効用といえよう。以前お話しした、いわゆるアニマルセラピーとしての効用もある。まだまだ新しい発見があるだろう。この続きはまたの機会に。