あうと・おぶ・ばうんず


天下茶屋

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 波乱に満ちた新世紀の最初の一年はまたたくまに過ぎ去り、新しい年を迎えました。

 さて、この四月には「抜本的な医療改革」が予定されています。

小泉総理は「三方一両損」などと自慢気に語っています。患者さんに、「損」をしてでも、もっとお金をはらってもらうのだそうです。年金生活者が多数を占める高齢者には特につらい「改革」となりそうです。

 いまの六十五歳以上の、いわゆる高齢者は戦争中に青春時代を過ごされました。戦後は焦土と化した日本をよみがえらせるべく、高度経済成長期を、文字どうり体をはって支えてこられた方たちです。その間営々と保険料を払い続けてきた高齢者に「損」をさせるということが、すなわち総理のいう改革なのでしょうか。定年を迎えてほっと一息ついたころに、病気になったら、「自己責任です。もっとお金を払いなさい」とは・・・

バブル崩壊以後、いわゆる「失われた十年」の間に、景気対策に使われたお金や、銀行救済に投入された公的資金という美名に粉飾された税金--まさに湯水のごとくばらまかれた私達の血税の総計は優に百兆円を超えます。

 その結果がどうなったかは措くとして、かたや、この度の患者負担増や、診療報酬下げで捻出されるお金は三千億円に満たないのです。

 この国では国民の生命を守ることよりも大事なことがあるようです。

 同時多発テロ、狂年病、デフレスパイラル・・・暗い話題ばかりの昨今ですが、「パンドラの箱」の寓話を持ち出すまでもなく、こんな時だからこそ夢と希望を捨ててはいけないのでしょう。

 昨年「明日があるさ」という歌がはやりました。吉本興業のお笑いの面々が歌うのをお聞きになった方も多いかと思います。

 また、日本が高度経済成長で、世界の先進国に仲間入りしようと必死になっていた時期に、「お持ちなさいな、いつでも夢を」と歌ったのは若き日の吉永小百合でした。

 今年の初夢はいかがでしたか。願わくは正夢となりますことを。皆様のご多幸をお祈りします。